日本版DMOで観光まちづくり、観光データ活用へ、自主財源確保も

  • 2014年10月23日

データ活用で戦略立案、官民協同でDMO立ち上げへ
自主財源確保を重視、効果測定課題に

行政主導の観光施策に限界
官民協同の欧米DMOを参考に

近畿大学経営学部教授の高橋一夫氏  次に登壇した高橋氏は、従来の行政主導の観光振興のジレンマを明らかにした。ヒアリング調査によると、行政主体の観光協会では公平性を重視しなければならないため、個別の店舗や企業との付き合いは避けられる。

 また、2、3年で異動があるためスキルや人脈が継承しづらい。加えて、自治体からの出向者がマネジメント職を占め、行政管理のもとで職員のモチベーションが上がらない。さらに、「金は出すが結果を求めない」予算主義とビジネスセンスの不足、自治体の補助金への依存といった課題があるという。こうした調査で浮き彫りとなった行政施策の限界に対し、高橋氏は専門組織としてのDMOの設置、民間人材の登用、自主財源の安定確保を処方箋に挙げた。

 モデルとなるのが欧米のDMOだ。特徴は、官民協同組織であること、ホテルや観光商品の販売など消費者に対してはワンストップでサービスを提供すること、事業収入やホテル税で自主財源を確保していること。また、スタッフはすべて正規雇用で、自治体からの出向者はいない。

 たとえばDMOとして機能するバルセロナ観光局では、2013年の予算4400万ユーロのほとんどを自主財源でまかなっている。バルセロナ観光局がMICEを誘致すると、提携した会員ホテルから誘致経費として宿泊料の2%を徴収するという仕組みだ。

 また、ロンドン&パートナーズでは、すべての活動をROI(費用対効果)で評価する。いずれも会費や補助金に頼らず、会員との「一定の緊張感をもった」パートナーシップで運営されている。高橋氏は、権限、責任、成果評価システムを備えた新しい組織としてのDMOの構築に加え、行政とDMOの役割分担を明確にすることが重要とし、「官が民に寄り添ってサポートする」新しい関係が期待されると述べた。