AF/KL、日本市場へ投資継続、サービス改善も-スト影響を謝罪
エールフランス航空・KLMオランダ航空(AF/KL)旅客営業・マーケティング部門最高責任者のパトリック・アレクサンドル氏が10月9日に来日してプレスブリーフィングを開催し、日本市場を重視する戦略を説明した。同社は長距離路線の強化を経営計画の柱の1つとしており、日本市場でも新シートの導入や機内食の刷新などに取り組むほか、日本航空(JL)との提携関係も活用して需要の獲得を進める。
AFは現在、成田と羽田から最大1日3便、関空に1日1便を就航しており、KLも成田、関空にデイリー、福岡に週3便を設定。JL便のコードシェアを含めれば、冬ダイヤの日欧間路線は週49便に上る。
現状では円安や増税の影響で、2014年の輸送実績が前年比5%減となっているが、2015年は予約も順調に入っており「安定すると見込んでいる」という。また、日本発だけでなく欧州発の需要も伸びが見込まれると説明。加えて、路線別の状況として、羽田の夜便は平均ロードファクターが90%を超える好調さを維持していることを紹介した。
成田線も、羽田が業務渡航、成田が団体旅行と需要構成で一定の棲み分けができており、貨物需要もあるため堅調に推移。国土交通省は羽田への就航を望む航空会社に成田路線の維持を求めているが、「制約とは考えていない」という。
今後の日本路線への投資としては、AFでビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーそれぞれに新しいシートを搭載したボーイングB777-200型機を10月28日から羽田夜便へ導入し、1月には羽田昼便にも投入。
新シートのうちビジネスクラスは、「フルフラット」「(通路への)フルアクセス」「フルプライバシー」の「3つのF」をコンセプトとして設計したものだ。また、現在は「日本風」の機内食を、より本格的なものとするプロジェクトも立ち上げ、現在開発を進めている。
また、JLとの提携関係については「1961年からの長く良好なパートナーシップ」であり、両社の以遠路線のコードシェア、FFP連携、ラウンジの共有などによる相互的な利便性の向上に「大変満足している」とコメント。今後も提携を深化させていきたいと意欲を語った。
このほか、アレクサンドル氏はプレスブリーフィングの冒頭、9月にAFのパイロット組合が実施したストライキによって顧客や旅行会社に多大な迷惑をかけたと謝罪。
ストライキは、AF/KLが経営再建の一環としてLCC子会社であるトランサヴィア(HV)の事業強化を計画する中で、パイロットの出向を盛り込んだことに対して反発があったもの。ストライキにより約4億5000万ユーロの損害が発生し、本来は2014年度に見込んでいた単年度黒字の達成が2015年度に先送りになってしまったが、現在は組合側と「基本的な理解を共有できた」という。
なお、アレクサンドル氏は、ストライキの収束後に取引先や関係者への説明と謝罪のために最初に訪れた国が日本であるとし、その点も日本市場重視の証と語った。