アクセスランキング、1位はUAグアム線、LCC関連にも注目

[総評] 今週は、ユナイテッド航空(UA)が現在9路線ある日本/グアム線のうち3路線を運休する方針であることをお伝えした記事が1位になりました。対象は新潟と広島、岡山で、判断の理由はシンプルに採算性の問題ということです。各地で営業活動は継続するとのことですが、地域の旅行市場や受け入れ側にとって直行便がなくなるインパクトは少なくないでしょう(販売で支えることができなかったわけではありますが)。

 グアムは、もともとはコンチネンタル航空のハブ空港で、かなり前から「全国9都市からグアム(を経由して○○)へ」という謳い文句があったと記憶しています。調べてみますと、私が記者として業界向けセミナーなどに参加させていただくようになった2007年には新千歳、仙台、新潟、成田、中部、岡山、広島、福岡の8路線で、2009年12月に関空線を加えて9路線になったようです。

 長く継続した路線がなくなるというのはそれだけで寂しいものですし、旅行業界にとっても短命路線の運休とは異なる影響があるはずです。例えば事業計画を立てる際に、長く続いている路線について意識的、無意識的に関わらず存続を前提として捉えてしまっても不思議ではありません。

 ただ、航空会社の立場で考ると、利益が見込めないのであれば止めるというのも極めて自然です。例え利益が出ていたとしても、この機材を今ここに回せばこれだけの増益に繋がるという考え方が当たり前で、5位に入ったデルタ航空(DL)の記事でも一部こうした判断があったようです。

 そもそも、航空会社はあくまでも旅客や貨物を輸送することによって収入を得ること、利益を最大化することが事業の基本であり、路線の開設・撤退、増減便だけでなく流通戦略、マーケティング戦略などのすべてがそれに合わせて決められます。航空会社ごとの旅行会社への配慮の多寡などが話題に登ることもありますが、そもそも「旅行会社フレンドリー」な会社も、その方が上記の基本の実現に資すると判断しているから、と考えることもできます。

 個人的には、航空会社に限らず、あるいは個人間でもそうした相手側の立場や意図を理解しようとする努力が相互にあってこそ、ビジネスパートナーとして真に良好な関係を築けるように感じています。また、その際には「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という孫子の言葉の通り、自らについても事業の基本を明確化してなくてはならないでしょう。

 今週はこのほか、LCC関連の話題も多くランクインしました。3位にはバニラエア(JW)が冬ダイヤ以降に成田発着の国際線を強化していく方針が、4位には春秋航空日本(IJ)が運航を開始したことが入っていますし、9位はピーチ・アビエーション(MM)、ジェットスター・ジャパン(GK)、JWなどのお盆期間における予約状況の記事でした。

 JWの記事は、代表取締役社長の石井知祥氏が国際線の比重を高めていく方針を示されましたものです。9位で掲載したお盆期間のデータですと、国際線と国内線の比率はJWが70%対30%、MMが76%対24%で、GKは国内線100%ですが、JWはこれを年度内に40%対60%に逆転しようとしています。

 こうして見ると、JWとGKが同じ成田をベースとして直接競合する関係にある中で、GKは国際線を見ていないわけではないとはいえ現在は国内線に集中しており、JWとしては棲み分けあるいは国際線で先行しようとするねらいがあるのかもしれません。

 LCC元年といわれた2012年から2年が経過しましたが、今のところ日系LCCのビジネスは未だ模索段階でしょう。しかし、本稿を書いていてコンチネンタル航空やノースウエスト航空が活躍していた頃を思い出し、当時からの時間の経過と意識の変化を考えますと、どういった形かは別にしてLCCが当たり前になるのもあっという間ではないかと感じます。そして、その時に旅行業界がどのようになっているか、なっているべきか、そのために何が必要かなど、考えるべきことは時間に比して多いと感じるばかりです。

 なお、ランキングとは関係ありませんが、トラベルビジョンでは8月11日から16日までを夏期休刊期間として、メールニュースの配信を一時停止いたします。ウェブサイトは適宜更新しようと考えておりますのでご理解を賜われれば幸いです。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年8月第2週:8月3日0時~8月8日17時)
第1位
ユナイテッド航空、新潟・広島・岡山/グアム運休、営業は継続(14/08/05)

第2位
ANA大阪支店長、旅行会社と関係深化へ、FSCの強みも武器に(14/08/06)

第3位
バニラエア、国際線強化、香港・高雄に就航へ-夏予約好調(14/08/07)

第4位
春秋航空日本、成田3路線就航、初便は148名-15年春に新路線も(14/08/03)

第5位
デルタ、成田/香港と中部/マニラ運休、デトロイトなど減便も(14/08/05)

第6位
現地レポート:バンコク、チェンマイ視察、通常通りに観光可能(14/08/07)

第7位
タイ国際航空、期間限定の割引運賃、日本/タイ線3.7万円から(14/08/03)

第8位
楽天トラベル、2Q取扱高10.3%増-営利は実質15.8%増(14/08/04)

第9位
LCC3社、夏の予約はバニラ好調-新興CRRでは7Gの予約率改善(14/08/06)
JAL・ANA、夏の国際線予約は5.7%増、ハワイなど好調(14/08/03)

第10位
動物園と水族館、世界1位は米国-海遊館がアジアと日本1位(14/08/06)