現地レポート:バンコク、チェンマイ視察、通常通りに観光可能

  • 2014年8月7日

戒厳令の影響は見受けられず 参加者「自信を持って勧められる」

カウンタースタッフを中心に29名が参加。写真はバンコクのエメラルド寺院前の広場  タイは反政府デモやクーデターの影響により、日本人の訪問者が減少している。タイ王国 観光・スポーツ省 観光局によると、1月から6月の日本人訪問者数は前年比22.4%減の53万2286人となった。こうした状況の中、タイ国際航空(TG)は6月23日から27日の3泊5日で、全国の旅行会社のカウンタースタッフを中心とした研修旅行を実施。新千歳、東京、関空、中部、福岡発着で、計29名が参加した。TG東日本地区旅客営業部次長の山本宏典氏は「戒厳令下ではあるが、観光は通常通り可能」とし、研修旅行により「お客様に一番近いフロントラインにいる方々に体験していただき、タイが大丈夫であることをわかってもらいたい」と語った。今回は研修旅行から、バンコク、チェンマイの様子を紹介する。


日本人訪問者減少、秋以降の復活に期待

バンコク市内の様子。路上の屋台も賑わっている。道はバンコク名物の渋滞中  タイでは昨年11月末に反政府デモが発生。今年5月20日には陸軍がタイ全土に戒厳令を発出し、22日には陸軍司令官を中心とした国家平和秩序維持評議会(NCPO)が統治権の掌握を宣言した。NCPOは午後10時から翌朝午前5時までの夜間外出禁止令を発表。その後、6月13日に夜間外出禁止令は撤回されたが、戒厳令は発令されたままだ。

 しかし、今回の視察では、戒厳令の影響は感じられず、各店舗も通常通り営業しており、物々しい雰囲気はなかった。ツアーオペレーター「エーアンドエーツアーサービス」の海外支店である、サイアムホリデーインターナショナルの橋本純又氏は、タイの人々の生活は通常通りに戻っていると説明。「タイの騒乱が(報道などで)世界中に広まり、その印象が続いていて風評被害が起きている」と懸念を示した。

 バンコク市内のフードコート。観光客や地元の人々で賑わう  TGの山本氏によると、6月の東京/バンコク線のロードファクターは50%から70%程度で推移しており、前年比10%から15%減。訪日ビザの規制緩和により伸び調子の訪日需要が日本人の減少を補っている状況だという。日本人は業務渡航やリピーターの多いFIT層は戻ってきているが、パッケージツアーの戻りが遅い。研修旅行の参加者からも、顧客から「タイは危ないのではないか」との懸念や、「あえて今行かなくてもいいのでは」という理由などで、タイ旅行のキャンセルや、別のデスティネーションを選択するケースが続いているとの声が聞かれた。

深夜のスワンナプーム空港。旅行者で賑わう通常通りの姿  家族旅行が多い夏についても、TGの場合、7月、8月のロードファクターは7割から8割まで戻りつつあるが、政変前には及ばない状況。特にパッケージツアーは、通常予約が始まる5月にデモが発生したため、あまり動きがなかったという。一方、秋以降は、需要が高まる団体を中心に予約が戻りつつあるという。研修旅行で訪問したホテルや現地オペレーターからも、秋から年末にかけての回復に期待したいとの意見が多く聞かれた。