ANAHD、1Q売上高は10%増、営業利益3億円-羽田路線増で
ANAホールディングス(ANAHD)の2015年3月期第1四半期(2014年4月1日~6月30日)の連結業績で、売上高は前年比10.0%増の3868億円だった。営業費用は事業規模拡大に伴う燃油費などの増加で8.2%増の3864億円。営業損益は3億円の黒字(前年:56億円の赤字)だった。営業損益では航空事業は赤字だったが、航空関連事業や旅行事業などが黒字化したことで、前年を上回った。
経常損益は25億円の赤字(同:112億円の赤字)。年金制度改革による増加で特別利益が443.7%増の100億円となったことで、当期純損益は34億円の黒字(同:66億円の赤字)となった。
航空事業の売上高は9.7%増の3351億円、営業損益は11億円の赤字(同:65億円の赤字)。事業規模を拡大した国際線を中心に収入が増加した。
国際線は、ビジネス、レジャー需要の積極的な取り込みや、羽田国際線の新規就航・増便により、旅客数が17.7%増の168万9000人、旅客収入が22.1%増の1092億円と増加。旅客単価は3.7%増だった。座席供給量を表す座席キロは25.2%増となったが、旅客輸送量を表す旅客キロは21.7%増と届かず、利用率は2.0ポイント減の69.0%だった。
羽田国際線については、新規就航や増便により、第1四半期の提供座席数が64%増と大幅に増加。旅客数は62%増に留まったが、就航当初で羽田国際線の認知があまり高くない中、NH専務取締役執行役員の殿元清司氏は「計画に比べて好調なスタートを切った」と見る。今後も首都圏のビジネス需要や地方発需要の増加により「羽田国際線を中心に強い基調で推移していくと見ている」という。
成田線については、提供座席数は10%減と減少したが旅客数は前年並みに留まったとした。方面別では北米路線が好調に推移。日本人のビジネス需要に加え、アジア発北米行きなどの際際需要も順調だという。
国内線は、旅客数が2.9%増の9970億円、旅客収入は0.7%増の1483億円。ビジネス需要の堅調な推移と好調なレジャー需要の着実な取り込みにより、旅客数、収入共に前年を上回った。旅客単価はレジャー需要の増加により2.2%減となった。座席供給量は0.5%減、旅客輸送量は3.5%増で、利用率は2.2ポイント増の59.2%だった。
このほか、殿元氏は訪日客の増加についても言及。例えば同社の訪日客向け国内運賃「Experience Japan Fare」利用者を見ても、第1四半期は38%増で、第2四半期は52%増となる見込み。同運賃購入者の13年度の利用者数に占める割合でも、13年度が1.5%だったところ14年度は1.8%で推移しており、「手応えを感じている」とした。
マイレージ収入や整備受託収入、バニラ・エア(JW)などからなる航空事業におけるその他の収入は、9.7%増の382億円。JWの旅客数は19万8000人、利用率は59.7%だった。なお、JWではパイロット不足で6月に154便を欠航したが、7月以降は必要な人数を確保し、計画通りに運航しているという。
航空事業以外では、航空関連事業で羽田や那覇空港における搭乗受付や手荷物搭載などの空港地上支援業務の受託が増えたことなどで、売上高が17.3%増の536億円、営業利益は124.4%増の27億円と増加した。
旅行事業では売上高は1.0%増の367億円、営業利益は27.0%増の7億円となった。海外旅行では「ANAハローツアー」で羽田線の増加を受けて商品ラインナップを拡充し、日本各地発の需要を取り込んだ。訪日旅行では、訪日客の確実な取り込みにより、取扱高は前年を上回った。国内旅行は、ダイナミックパッケージ「旅作」において、関西方面を中心に全方面で取り扱いが増加した。