現地レポート:スーパースターヴァーゴの香港発着クルーズで新しい休暇体験

  • 2014年7月24日

アジア周遊旅行とリゾート滞在を同時に楽しむ
新しい香港旅行としての提案も

日本人の固定概念を取り払う魅力
アジアンホスピタリティに溢れたクルーズ

プールエリアには洋上に突き出たスライダーも。このほか子ども用プールエリア「Wet’n wild」もある

 日本ではプレミアムクラス以上の邦船中心でクルーズ文化が築かれたため、日本人のクルーズ感は「優雅」「憧れ」「高級」という特別な旅行のイメージが強い。しかし、世界のクルーズ客船の7割はカジュアルシップで、このクラスがクルーズの多様性を広げている。スタークルーズではあえて「豪華」よりも、1泊1万円程度からの価格でいつもの旅行と同じ気構えで楽しめる「気軽な快適さ」の魅力を伝えたい。香港旅行やアジア周遊旅行の一つとして打ち出すのも、新しい切り口として一案だろう。

ビュッフェレストランには子供の背丈にあわせたエリアもある。小さい子供が自分で料理を取る楽しみにも配慮

 客層は、夫婦を含むカップルや友人同士を中心に子ども連れファミリーも多く、年齢層は幅広い。日本人はシニアが中心だが、日程的に日本から子供連れでも参加しやすく、ファミリーにも勧めたい。国・地域別では発着港の香港を中心に、インド、中国本土、日本、台湾など。クルーもフィリピン、インドネシアやマレーシアなどアジアが中心。香港駐在の欧米人も見られたが、全体的にはアジアの人種が占めており、船の中はアジア大都市の大型ショッピングモールのような雰囲気だ。

メインロビーのグランドピアッツァ。2層吹き抜けの上部階には拡張した免税店エリアが広がる。写真はセイルアウェイパーティの様子

 一部ではマナー面で気になる振る舞いが見られたという体験談も聞かれるが、取材中にはそのような印象は一切受けなかった。乗客が東洋系の市場に偏っているように見えるが、スタークルーズでは乗客の市場構成比は配慮しているという。

メインダイニング「ベラビスタ」。ファーストシーティングなら窓に映える夕陽が美しい

 とはいえ、日本市場は特に重視しており、船内の基本言語は英語のため、各船には日本人または日本語の話せるスタッフを配置。シップドリルを日本語で行ない、船内用の携帯電話で常時対応できる態勢を整えていた。船内新聞も香港発着クルーズでは広東語版も用意されるが、全てのクルーズで英語以外の言語の船内新聞を用意するのは日本語のみだという。

有料の中華レストラン「ノーブルハウス」にて。期間限定・香港セレブリティシェフのコラボメニューも

 ちなみに、スーパースターヴァーゴは2014年1月に約20億円を投じたリノベーションを実施。人気のバルコニー客室のデザインを現代的にアップグレードし、マルチソケットも設置したほか、免税店エリアは以前の3倍に拡張。屋外のスナックバーにはライトを多用したソファエリアを設置するなど、コンテンポラリーな雰囲気が加わった。8年ぶりに乗船したという旅行会社のスタッフは、「より明るく、きれいになった」と印象を語る。

人気のバルコニー付き客室。ダイニングクレジットの特典や冷蔵庫、ポットが付くのもこのカテゴリーから

 スタークルーズは本社を香港に置く、アジアに根付いたクルーズ会社。複合リゾートを運営するゲンティングループ傘下という、まさに人を楽しませることに長けた企業背景がある。2016年、2017年には15万トンクラスの大型新造船を就航する予定で、その1つが本社のある香港を母港にする可能性もある。先を見据えて取り組んでいきたい。