独OTAのHRSが日本参入、出張需要に特化-旅行会社との協業も
ドイツのオンライン旅行会社(OTA)であるホテル・リザベーション・サービス(HRS)は5月14日、本格的に日本で事業を開始した。HRSは190ヶ国・地域にチェーンホテル10万軒、独立系ホテル15万軒、計25万軒の宿泊施設を取り扱っており、年間利用者数は8000万人。日本市場ではビジネストラベルに特化して事業を展開し、法人出張時のホテル手配に特化した、旅行管理ソリューションサービスを提供する。
同社ではこのほど日本法人を設立し、東京にオフィスをオープン。日本法人の代表取締役社長として、元エアアジア・エクスペディアジャパン(AAE Japan)代表取締役、エクスペディア北アジア担当ゼネラルマネージャーの三島健氏を迎えた。現在日本オフィスの従業員は10名だが、今後1年間で30名から40名まで拡大する予定だ。
5月13日の記者会見で、来日したHRSボードメンバーでグローバルソリューションズ・ヴァイスプレジデントのジェイソン・ロング氏は「我々は出張旅行のマネージメントにおいて、世界でNo.1のプロバイダーになる」とし、そのためには「アジア、特に日本で存在感を示す必要がある」と日本の重要性を強調した。HRSによると、日本は世界で6番目に重要な市場との位置づけ。日本企業が世界に進出する中、出張需要のさらなる拡大が見込める中、日本でオンライン予約市場が成熟してきたことや既存顧客から要望もあり、このほどオフィスを開設したという。
日本市場では企業向けのBtoBサービスを提供。三島氏はサービスを提供することで「企業のコスト削減と従業員の満足度向上を同時に実現させる」と意気込みを示した。企業ごとにポータルサイトを作成し、出張の際のホテル手配に関して、顧客企業のニーズに応じて適正なホテルを紹介、提供するとともに、企業とホテルのコーポレート契約のサポートもおこなう。出張情報のデータ管理、分析なども担当する。企業の利用料は無料で、ホテル側から手数料を取る。
日本市場では企業との直接契約に加え、インハウスを初めとした旅行会社とのパートナーシップも重視していく考え。それぞれに担当営業を置いて展開していく。旅行会社に対しては、HRSのコンテンツを利用を提案。三島氏は同社の強みとして、海外の独立系ホテルや小規模なホテルのラインナップの豊富さを挙げ、「(旅行会社の)既存の予約チャネルの中に、我々のコンテンツを落としこんでいきたい」とした。
また、日本オフィスでは日本国内宿泊施設の仕入れも実施。国内出張者やインバウンド向けの施設を増やしていく。現在は国内ホテル6000軒を取り扱っているが、出張などでニーズが高い宿泊施設を中心に、今後数年で契約施設を8000軒まで拡大したい考えだ。