JTB次期社長、2020年へ「果敢に挑戦」、海外需要増へ工夫も

  • 2014年4月27日

(右から)田川博己氏、高橋広行氏 ジェイティービー(JTB)代表取締役社長に内定した高橋広行氏が4月25日、現代表取締役社長の田川博己氏と記者会見に臨み、就任後の抱負を語った。JTBでは、経営計画“2020年ビジョン”として“アジア市場における圧倒的No.1ポジション”とそれによる“長期的・安定的な成長を可能とする基盤”の確立を掲げているが、高橋氏は「(2020年ビジョンの)実現に向けた道筋を確固たるものにすることが最大の使命」という。

 経営の基本戦略は現代表取締役会長の佐々木隆氏、田川氏の路線を引き継ぐ考えで、事業ドメインと位置付ける交流文化事業を更に強力に推し進め、2020年の完成をめざす。交流文化事業は「グループ各社の専門性を結集し、人や物の交流で新たな需要を創出し、これを収益事業とする」と定義する。

 今後は「必ずしも旅行の形態を取らないような事業」も取り扱っていくといい、従来型の旅行業の枠組みを超え「人や物の交流を切り口にした新しいビジネスモデルへの転換」を模索。具体的には、すでに実施している、国内の農林漁業関係者がセラー、国内外の流通業者がバイヤーとなる商談会のマッチングビジネスを例示した。

 また、組織戦略では、2006年に分社化した現行の体制は「当分維持」するが、この4月に発足した「JTB国内旅行企画」のような「求心力」と、地域密着や独自性を強化するための「遠心力」を組み合わせて運営。事業再編や外部との連携なども視野に入れつつ「グループ経営体制の進化形」を構築していく。

 さらに、「2020年ビジョン達成の鍵をにぎる」というグローバル戦略、オンライン販売、他社との差別化などを強化するための投資も、「100年かけて蓄えた力をベース」として積極的におこなっていく。旅行販売でもチャーターやクルーズ、買い取りなど「仕掛けによって自ら需要を作り出す、投資型ビジネスにも果敢に挑戦していきたい」と語った。

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