アクセスランキング、13年度倒産が1位、クルーズに注目も
[総評] 今週は、東京商工リサーチ(TSR)が取りまとめた2013年度の旅行会社倒産状況が1位になりました。こうした倒産状況の調査は、情報を収集する企業によってデータに差異があるはずで、また旅行事業の廃業もカウントされませんので全体数を反映したものではありませんが、大きな流れとして業界がどのような状況にあるのかを把握する一助になります。
TSRによると、2013年度の倒産件数は8件増の47件、負債総額は62.7%増の46億3400万円となりました。この数値が高いか低いかは判断の分かれるところかもしれませんが、過去20年間のデータでは倒産件数は16位、負債総額も13位で、いずれも平均の件数54.8件、負債約94億9000万円を下回っています。
最も高いのは1997年で77件、388億9300万円といずれも20年間の最高値です。特に負債額が突出して高くなっていますが、これはジェットツアーによるものでしょう。
幸い、個人的にはこれまで自分の勤めている企業の経営が立ち行かなくなった経験はありませんが、役目柄、閉ざされた扉とそこに張り出された弁護士事務所からの書面などを目にする機会は少なからずあります。個人的には、旅行業界の一員として、第一義的にすべての旅行会社が健全に経営し、成長していくことを望み活動する中では最も楽しくない、したくない取材です。
とはいえ、社会全体が大きく変化する中で、他社の倒産の話題が完全に対岸の火事であると言い切れる会社は旅行会社に限らず少ないでしょう。そうした情報を踏まえて、いかに経営やサービスを改善、向上していくかが重要になるはずです。トラベルビジョンとしても、より多くの方のお役に立つ記事を書くために、努力し工夫していかなければならないと感じています。
その意味では、ジェットツアー倒産の経緯について当時の旅行業界誌の記者、私にとっては大先輩といえるであろう方が詳細なレポートをウェブサイトで公開されており、「想い」の込められた文章に感銘を受けます。往時の顛末を他山の石として捉えられる内容ですので、興味がおありであれば検索して一読されることをお勧めします。
なお、今週はこのほか、観光局やクルーズの記事も複数ランクインしました。具体的には、4位に香港政府観光局(HKTB)日本局長を務める堀和典氏のインタビュー、5位と9位にプリンセス・クルーズ、7位にハワイ、8位にカナダが入っています。
トラベルビジョンの週間アクセスランキングはほとんどの場合、航空会社関連が大半で旅行会社のものも少し、という割合ですので、少し特異な傾向といえるでしょう。特にクルーズは、ほんの数年前までクルーズ旅行に付きまとっていたマイノリティのイメージからすれば考えられないような変化です。
プリンセス・クルーズは間違いなくこの変化を先導した1社で、5位の記事では残念ながら2015年の供給量が削減されることが発表されていますが、中長期的に日本市場への投資を継続していく方針も示されています。
カーニバル・ジャパン代表取締役の木島榮子氏によると、「約10億円の広告投資で注目が高まった」ものの、「予約に躊躇する」消費者が多いとのことです。ためらうお客様の背中を押して差し上げる、その力が最も大きく、かつ最適な立場であるのは旅行会社でしょう。
先週の当欄も、需要と供給を卵と鶏にかけて締めくくりましたが、クルーズについていえばすでに供給は始まっており、後は需要を生み出すだけです。是非、旅行会社の皆様のお力を発揮していただきたいと願っています。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年4月第3週:4月13日0時~4月18日17時)
第1位
◆13年度の旅行業倒産件数、8件増の47件に-中韓の需要減響く、TSR調査(14/04/13)
第2位
◆日本航空、成田/ジャカルタ線増便-6月13日から週14便に(14/04/13)
第3位
◆フィリピン、米国線の開設可能に-セブパシフィックは欧州解禁(14/04/15)
第4位
◆トップインタビュー:香港政観日本局長の堀和典氏(14/04/17)
第5位
◆プリンセス、2015年日本発着は5万人目標、適切なスケールで長期運航へ(14/04/16)
第6位
◆JTB、きゃりーぱみゅぱみゅさんのハワイ公演ツアー発売、最優先席を提供(14/04/16)
第7位
◆ハワイ、14年の日本発MICE、10%増へ-隣島の活用アピール(14/04/14)
第8位
◆カナダ、日本市場拡大へ、路線拡充と「花子とアン」に期待(14/04/13)
第9位
◆プリンセス、就航記念式典を開催、業界向け体験クルーズに約2000名(14/04/16)
第10位
◆デルタ、長距離国際線のエコノミーでスリープキット配布(14/04/13)