トップインタビュー:OZ取締役常務・日本地域本部長の柳光烈氏
厳しい環境も新施策で需要獲得
民間交流の維持・拡大に業界全体の取り組みを
日韓間の旅行市場は、日本発で領土問題の影響が続いているものの、韓国発の2013年の訪日旅行者数は前年比2割増の246万人。日本発の需要も、前年から減少したとはいえ275万人と依然として大きな規模を維持している。2014年の復調が望まれる中で、日韓間の移動の一翼を担うアシアナ航空(OZ)がどのように市場を分析し、どのような戦略を取るか。就任から約1年が経過したOZ取締役常務で日本地域本部長 兼 東京旅客支店長の柳光烈氏に聞いた。(聞き手:トラベルビジョン代表取締役社長・岡田直樹)
-現在の市場環境についてどのように捉えていますか
柳光烈氏(以下、敬称略) 2012年の旅行者数は日本からが352万人、韓国からが204万人、合計で560万人。2013年は日本からが275万人と減ったが、韓国発は20.2%増の246万人となり、520万人台の往来はキープした。しかし本来は、何の問題もなければ2015年の国交正常化50周年までに訪韓400万人、訪日350万人、合計750万人まで到達すると期待していたところだ。
これは、いうまでもなく外交問題や円安が原因だ。現実的には、2014年に700万人、800万人という数字を達成するのは困難だが、2012年を上回る600万人は達成してほしい。難しい環境ではあるが、OZとしてもこれまであまり力を入れてこなかったような分野にも取り組んでいきたい。
-新しい分野では、どのようなお取り組みをするお考えでしょうか
柳 市場の落ち込みへの対策として、それまで通りの施策のみを展開していたのではだめ。今までやっていないことを始めなければ、この危機を脱することはできない。
例えば、オンラインにおける旅行販売やSNSの活用を進める。また、世界遺産や女性向けなど、ターゲットを明確にした新しい旅行商品も増やしたい。さらに、業務渡航の取り込みも強化する。こういった取り組みにより、新しい需要の掘り起こしに努める。
このほか、日韓間の需要だけでなく、仁川以遠にも取り組む。OZは中国で30路線を展開しており、中韓間では最大の航空会社であり、東南アジアにも18路線がある。これを十分に活用したい。以遠需要は2013年も従来に比べて増えたが、さらに注力する。
-オンラインについては、大小のOTAや直販もあるわけですが、具体的にはどのような展開を進めるご方針ですか
柳 基本的には旅行会社を通じて増やしていきたいと考えている。本社レベルではエクスペディアとMOUを締結しており、日本もまだそこまで多くはないがOTAの伸びは大きい。そういったネットワークを販売に活用したい。
とはいえ、契約する会社が増える可能性もないわけではないが、従来の取引先との契約は大きく変更などせず、今までやっていなかった商品に取り組むことで数を増やしていきたいと考えている。
オンラインに限らず、業務渡航も航空会社によって色々な戦略があるが、OZとしては旅行会社を通じて需要をとっていきたい。旅行会社が必要な点についてOZがどんどん支援をしながら、例えば一緒に企業を訪問するなど販促をしていきたい。