TCSA、CS実現の観点で処遇改善を訴え、「添乗サービス成り立たない」
日本添乗サービス協会(TCSA)は2月26日と27日、東京と大阪で旅行会社と添乗サービス業の従業員を対象に「添乗シンポジウム」を開催した。TCSAの委託で添乗員の仕事や労働環境の調査を担当したマネジメント・デザインズ主任研究員の小倉千佳氏は、CS(顧客満足)を実現する添乗サービスのためには、ES(従業員満足)が重要であるとし、派遣添乗員の処遇改善のため、旅行会社と添乗サービス業双方に対して派遣料金など抜本的な見直しを訴えた。
小倉氏によると、ESは賃金や労働条件の良さと捉えられがちだが、本来は「仕事と商品に自信と誇りを持つ状態」が重要。そのため、企業がES向上をはかる際、まずは従業員の仕事のやりがいや充実感を作り出すために、経営側の業務革新や経営改善からアプローチをするのが通例だ。
しかし調査では、処遇よりも仕事を通じて得られる満足に支えられて仕事を続けている添乗員が多いことが判明。日当水準は国内旅行の場合、時給換算で都道府県の最低賃金レベルがボリュームゾーン(関東エリアは869円~1000円程度)であり、賃金と派遣料金は「専門的な知識・技術」などを必要とする法で定められた26業務のなかでワースト3位と低水準となっている。
添乗員の年齢構成比でも、30歳未満の割合が11.0%に縮小し、代わりに40歳~50歳が38.7%に、50歳以上が24.7%と拡大。経験が浅く、賃金が低い若者層が定着せず、高齢化が進んでいる現状が表れている。
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