現地レポート:英国南部の1066カントリー、中世建築に宿泊、ワイナリーも
歴史の舞台に女性向け素材
中世建築に宿泊、ワイナリーやショッピングを堪能
芸術家が移り住むヘイスティングス
様々な建築が楽しめる宿泊施設に滞在
一方、静かな環境に惹かれてロンドンから多くのアーティストや作家などが移り住んでいるというヘイスティングスでの滞在も魅力的だ。へイスティングスのメインストリートから少し外れた、ビーチサイドまで徒歩5分ほどに位置する「オールド・レクトリー」は、かつて隣接する教会の持ち物だった建物を改装して宿泊施設としている。
数百年の時を経て何度も増改築されてきた3つの建物を合わせて1つの建物にしているため、ビクトリア建築部分では天井が高く、ジョージア建築では上階の部屋は窓が小さいといった特徴が見られ、おもしろい。どの部屋もそれぞれデザインが違い、部屋の名前もヘイスティングスの通りの名を冠するなど地元っぽさがあちらこちらに表れている。
インテリアをデザインしたのはファッションブランド「キャサリン・ハムネット」の男性ラインのデザイナーであるライオネル・コプリー氏で、この宿のオーナーでもある。ヘイスティングスのアーティストによる壁紙を使用するなど地元らしさにこだわっており、丘陵に沿って美しいガーデンを擁する家が多いことでも知られるヘイスティングスの伝統を守り、ガーデンにも細やかに手を入れている。初夏から秋にかけてガーデン散歩を目的に訪れるFITにもよさそうだ。
ヘイスティングスでショッピングを楽しむ
地元産の魚介やオーガニック石鹸なども
ヘイスティングスではショッピングもおすすめだ。昔ながらの漁法で現代においても漁業がさかんなヘイスティングスだが、フィッシュマーケットは海岸沿いの漁師たちの小屋のそばでひっそりと行われる小規模なものだ。その市場から歩いて商品を運べる距離に魚屋やレストランが軒を連ねる。「ロッカノール・フィッシェリーズ」は小さい店ながら鮮魚だけでなく店内でさまざまな魚介類をスモークしており、地元で人気だ。日本に持ち帰ると伝えればきちんとパウチ包装をしてくれるし、2週間ほどもつというのでこちらもお土産によさそうだ。
また、旧市街のショッピングストリートでは地元産のチーズやソーセージ、ジャム、サセックス地方のオーガニック石鹸やウールからとれるオイルを使用したボディクリーム、おもしろいところではレトロなキッチン用品の店など、この町ならではの店が軒を連ねる。古民家を改装してできた店もあり、一軒一軒じっくりのぞいてみたくなることはうけあい。お土産屋ではなく、地元の人々に日常的に愛されている店であり、店主とちょっとした世間話をするのもアクティビティのひとつになりそうだ。
「中世の町」「歴史の舞台」というキーワードだけでも英国や歴史好きにはかなり興味深い1066カントリーだが、グルメ、ショッピング、デザインといった楽しみがあることはあまり知られていないように思う。周遊プランの通過点やロンドンからの日帰り旅行では周りきることができない魅力にあふれており、特に女性には満足度の高い旅先となるのではないだろうか。
取材:岩佐史絵