フィリピン台風被害、観光影響ほぼなし-大手ツアーも通常通り

  • 2013年11月14日

フィリピン政府観光省 日本語ウェブサイトより 11月8日にフィリピン中部を襲った台風30号は、レイテ島やサマール島東部を中心にフィリピン各地に多くの被害を与えた。しかし、日本人旅行者の主な旅行先であるマニラはほぼ被害はなく、セブ島についても北部の一部地域を除きほとんどが現在通常通りに戻っている。

 フィリピン政府観光省(DOT)東京支局の横山泰彦氏は、レイテ島は戦跡訪問を目的とした一部の日本人が訪れるのみで、セブの北部についてもあまり観光客が訪れない地域であるとし、観光に影響はほとんど出ていないと説明。大手旅行会社各社も、ツアー催行にはほぼ影響はないとしている。

 DOTでは12日付けで声明を発表。台風による影響を説明するとともに「フィリピンは不幸な出来事があったが、全ての観光客のための安全で楽しいデスティネーションのまま」と説明。観光は生活や経済を立て直すために大きな役割を果たすとし、復興とその先の観光業の成長のため、旅行業関係者をはじめとした官民双方のパートナーに協力を求めた。

 フィリピンを主に扱うオペレーターのアティックツアーズによると、マニラはほぼ影響がなく、セブは11月8日の午前中は空港が閉鎖されたが、午後には復旧。観光地のうちサント・ニーニョ教会とマゼラン・クロスについては、先ごろ発生した地震の影響で内部の見学ができない状況だが、それ以外は通常通り観光でき、マリンアクティビティを含むオプショナルツアーもほぼ通常通り催行中だ。北部についてはアレグレ・ビーチ・リゾートが営業中止中だが、同リゾートを取り扱うサンヨーインターナショナルによると、倒木や割れたガラスなどの清掃作業が主で、11月下旬には再開できる見込み。

 このほか、ボラカイは11日には周辺の2空港が再開しており、電話やインターネットの接続状況や電力供給には影響が出ているが、各ホテルは自家発電で営業しているという。

 また、大手旅行会社各社にツアーの催行状況を聞いたところ、ジェイティービー(JTB)、エイチ・アイ・エス(HIS)、阪急交通社、日本旅行、近畿日本ツーリスト個人(KNT個人)のいずれもツアーの催行に影響はなく、取消料の免除措置なども特に実施していないとした。

 JTBやKNT個人では台風上陸当時、現地にツアー参加者がおり、航空会社の遅延などの影響はうけたが、特に問題は発生しなかったという。また、HISは航空路線が運休していた時期はツアーの催行を中止していたが、復活とともに催行を再開。KNT個人でもボラカイを訪問するツアーについて、航空路線運休に伴い11月11日に催行を中止したが、12日から再開した。このほか、阪急交通社では11月下旬までフィリピンのツアーがないことから特に問題は起きなかったといい、11月下旬以降のツアーは様子を見て対応を検討していきたいとしている。

 なお、被災者支援の動きが旅行関連業界内も出てきており、航空会社では日本航空(JL)が支援金1000万円の寄付、救援物資の輸送と支援者の渡航への協力、マイル寄付の呼びかけをおこなっているところ。また、ユナイテッド航空(UA)も顧客と社員からの寄付金に、その同額をUAから追加して寄付する予定であるほか、米国赤十字社を通じて寄付をしたマイレージプラス会員に最大1000ボーナスマイルを提供する。