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ANAセ、海外拠点と連携強化-アメリカ商品増強へ

  • 2013年11月6日

ANAセールスアメリカ副社長に就任予定の大木淳雄氏 ANAセールスは海外拠点の機能強化をはかる方針だ。現地と日本側の連携を深め、商品造成に活かしていく考え。なかでも、アメリカについては11月7日付けで同社海外旅行商品部副部長の大木淳雄氏を現地法人のANAセールスアメリカの副社長に据え、力を入れていく。

 ANAセールスは海外拠点として、アメリカ、ヨーロッパ、中国に3法人9拠点を有しており、ランドオペレーター機能に加え、現地目線での商品の提案を実施。現地発アウトバウンドや訪日旅行も取り扱っている。現地法人がある3方面では現地と日本との連携強化をはかり、今までも電話会議などでコミュニケーションの強化に取り組んできた。また、海外研修員制度を実施。2012年には日本からハワイに企画担当者を研修生として派遣したほか、海外から日本に研修生を招聘している。

 大木氏は2012年から1年半、海外旅行商品部副部長を経験。本誌の取材に応え、「送り側の目線と現地側の目線は異なる。今までの経験を生かし、現地の仕入スタッフとミーティングをしながら、現地から新しい企画の提案をおこなっていきたい」と意欲を示した。

 アメリカではロサンゼルスを本社にロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ホノルルで展開。全日空(NH)が7月に成田/サンノゼ線をデイリー化し、9月から成田/シカゴ線をダブルデイリーにするなど、北米線ネットワークの拡充をはかるなか、ANAセールスとしてもアメリカを強化していきたい考えだ。同社では2012年度上期から、2年半ぶりにアメリカのパンフレットを復活させており、2013年4月から9月の取扱人数は前年比62%増、売上高が95%増と増加している。

 大木氏はアメリカにおいて、現地発の商品の提案の強化をめざす考えを示した。現在も実施はしているが、まだ規模は小さいとし、「日本の着地型商品のようなものを、現地から発信していきたい。新ルートの提案もおこなっていく」と語った。

 同氏によると、現在のアメリカの主流はグランドキャニオンやヨセミテなど国立公園を訪れ自然を楽しむツアーだが、今後はANAワンダーアースなどで新ルートを開発していきたい考えだ。例えば、ANAワンダーアースではジョン万次郎をテーマにした歴史探訪ツアーを設定。ヨセミテを訪問する商品でも、歴史的建造物のアワニーホテルに、予約が困難なハイシーズンに宿泊する特別感のあるツアーを用意した。大木氏はターゲットであるシニア層に対し「プレミアム感があるものを丁寧に拾い出してご案内していきたい」とし、「量販型のツアーで数を集めるのではなく、丁寧なネタで小ヒットを多く出していきたい」考えを示した。

 また、ハワイでは取扱人数は55%増、売上高は20%増と増加。ビジネスクラス利用のハイエンド客が増えていることで、単価も上昇している。今後は隣島への商品に引き続き力を入れていきたいとした。

 このほか、現地法人では訪日需要ついても取り組みを進めていく。ANAセールスが取り扱う訪日旅行者は、2013年見込みで約5万人。ほとんどが近隣の東南アジアで、アメリカ発はまだわずか。大木氏は「(訪日は)開始したばかり。市場を見て戦略を立てていきたい」とし、日本単体で販売するのか、アメリカ/日本/アジアの渡航需要を見込み、日本とアジアを組み合わせて販売してくのかなど、検討していきたいと述べた。