観光庁長官、1000万人達成に向け「正念場」、韓国の需要減懸念

  • 2013年10月24日

 観光庁長官の久保成人氏は10月23日の専門誌会見で、9月までの累計訪日外客数が22.4%増の773万1400人となったことを受け、目標とする1000万人について「このまま伸びが続けば達成する」との見込みを示した。残り3ヶ月で226万8600人が必要で、12年比では11.0%以上のプラス成長を続けられれば到達可能。ただし久保氏は「韓国の伸び率の鈍化もある」とし、「ここからが正念場の時期」とも語った。

 特に訪日の最大市場である韓国では、放射能汚染水問題が影響し、9月は12.9%増の16万4500人と増加したものの、2013年で初めて単月の数字が20万人割れ。久保氏によると、5月は45.5%増、6月は39.0%増までのびたが、7月は28.6%増、8月は6.9%増となり、2ヶ月連続で伸び率は鈍化しているという。9月は韓国では5連休があったが、汚染水問題などの懸念材料が顕在化したことから伸び悩んだとの分析だ。

 今後は引き続き正確な情報発信を心がけていくとともに、特に食の安全に関する情報提供を強化する。さらに、韓国政府経由で旅行会社や消費者に情報を提供してもらえるよう依頼しているという。このほか、他市場も含めて観光庁で計画していたイベントやプロモーションの前倒し、新規キャンペーンの追加など取り組みを強化していくとした。

 なお、9月で好調だった市場は、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インド、フランス、ドイツが9月単月で過去最高を記録。中国も約1年ぶりに前年を上回り、28.5%増の15万6300人となった。堅調な個人旅行に加え、団体旅行にも回復の兆しが見られるという。また、台湾、香港、タイ、ベトナムは、1月から9月の累計で前年の数字を上回った。このほか、欧米やオーストラリアも堅調に推移した。