観光庁、東京五輪で業界向けに情報提供-連絡会で協力求め

  • 2013年10月16日

 観光庁は10月16日、観光関連業界向けに「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に関する観光関連連絡会」を開催した。東京オリンピック・パラリンピックに関する行政の動きや取り組みなど情報を提供するとともに、業界関係者との連携強化をはかっていく。

 会の冒頭、観光庁長官の久保成人氏は出席者に対し、オリンピックとパラリンピックの東京開催は「訪日外国人数2000万人という高みをめざす日本にとって、強力な追い風になる」と喜びを示した。今後は「絶好の機会を逃すことがないよう、官民一体となったオールジャパン体制のもと、日本の魅力をよりいっそう発信するとともに、訪日外国人(向け)の環境整備を着実に進めていく」考えだ。

 政府は9月13日、文部科学大臣の下村博文氏を「東京オリンピック・パラインピック担当大臣」に任命。10月4日には内閣官房に「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室」を設置し、11日には関係府省庁連絡会議を開催した。観光庁でも10月4日に観光庁審議官をトップにした大会準備室を設置し、9日に東京都と意見交換を実施している。今回観光庁として業界向けに連絡の場を設けるのは初めての試み。久保氏は「皆様とのコミュニケーションを継続的にとっていきたい」と述べた。

観光庁長官の久保成人氏 連絡会では、国交省の各分野の担当者がオリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みを説明。観光分野では、観光庁観光戦略課長の清水一郎氏が多言語対応、Wi-Fi環境の充実、宿泊施設の充実と多様化、CIQの充実やファーストレーンの設置、案内所やガイドの充実、東京以外の地方への誘致などを今後取り組むべき課題としてあげた。特に地方については、訪日プロモーションを実施することで、東京に加え全国各地の魅力をアピールしていく考えだ。

 また、同庁スポーツ観光推進室長の八木和広氏は、2017年の札幌の第8回アジア冬季競技大会、2018年の韓国・平昌での冬季オリンピック、2019年に国内で開催予定のIRBラグビーワールドカップなど、2020年までに大きなスポーツ大会が日本をはじめアジアで続くと紹介。スポーツをフックにした観光の気運を高めていきたいとした。

 このほか、連絡会では早稲田大学スポーツ科学学術院教授の原田宗彦氏による講演も開催。原田氏はオリンピックを契機に、開催までの7年間で観光業界が実施するべきデスティネーション・マーケティングの計画を立てるべきと語った。同氏は訪日観光客の誘客を強化するとともに、オリンピック前には全競技種目の世界大会や国際スポーツイベントの誘致、事前キャンプ地の誘致をするよう提案。終了後もオリンピックの熱気をビジネスや観光振興につなげられるような計画をたてるべきとした。