観光人材育成を-日本観光研究学会・フォーラム(1) 志村観光庁次長「誇れる産業に」

 日本観光研究学会と京都嵯峨芸術大学はこのほど、同大学で観光特別フォーラム「地域における観光産業のあり方と人材育成」を開いた。観光産業の現状と課題から、地域や業界が取り組むべき方向性を産官学の立場から意見を交わした。

 特別講演に観光庁次長の志村格さん、基調講演にJTB社長の田川博己さんが登壇。分厚い構成に注目が集まり、観光関係者や一般、大学生など会場は多くの参加者で埋まった。

 志村さんは観光立国への取り組みを話した。国の視点でインバウンド促進の意義や課題、改善策を解説したが「でも行き当たるのは『人』の問題」と観光産業の人材育成を主題に据えた。

「観光圏の多くは連携の基盤のなさからうまくいかず。やっぱり人材が欠如」と人材の重要性を再認識したと志村さん。観光系大学や労働市場における社会人からの観光産業の人気低迷など業界としての魅力低下が危惧されるなか、「理論とマネジメントの実践を結びつける必要性」「地域の観光経営マネジメント層が学ぶ場の不足」という観点を示した。そのため、観光庁では産学に向けて教育カリキュラムづくりやセミナーなどの施策を展開。昨年、東北で実施した「次世代旅館経営者育成プログラム」もそのひとつだ。

 志村さんは「大学院レベルで観光のビジネススクールができないか」などの案を披露し「様々な角度からの質の向上で観光産業が誇れる産業になれるよう取り組みたい」と意欲を示した。


情報提供:トラベルニュース社