アクセスランキング、1位は航空会社満足度、HISチャーターが2位

[総評] 今週は、エイビーロード海外旅行セミナーで解説された、海外旅行者による航空会社の評価ランキングについての記事が1位になりました。毎年発表されている「エアライン満足度ランキング」と、国際線を運航するLCCに限った満足度や利用意向の調査結果について分析、説明されたもので、こうした類の記事は常に多くのアクセスが集まります。

 ランキングですが、シンガポール航空(SQ)が2年連続の1位となっており、その前の2011年は2位、2010年は1位と抜群の高評価です。2011年に1位となり、2012年と2013年は2位に付けたのはエミレーツ航空(EK)で、この2社が「2強」であると言ってしまって差し支えないでしょう。

 こうした強さの分析については記事でご紹介していますが、気になるのは昨年まで2年連続で3位に入った全日空(NH)が今年は5位に下がっていることです。日本航空(JL)が2011年から17位、6位、3位と順位が急上昇していることも目を引きますが、これは再建過程の影響もあるでしょう。3位も5位も低いわけではありませんが、やはり日本の海外旅行市場における日系航空会社の重要度を考えますと、2強を脅かし、上回るようになっていってほしいものです。

 また、記事でも触れていますが、LCCであるピーチ・アビエーション(MM)がFSCを含む総合ランキングに顔を出したことも驚きでした。満足度は価格との相対的なバランスで決まるものですので不思議なことではないのですが、FSC側に対LCCの戦略を聞くとかなりの確率で「価格ではなく満足度、バリューフォーマネーで勝負する」と返ってきますので、こうしたランキングでLCCの後塵を拝するのは望ましくないことであるはずです。

 一方、LCCについての調査では、利用意向が減少傾向にあることも気がかりです。セミナーでは、エイビーロード・リサーチ・センター研究員の森戸香奈子氏が「マスコミに過剰に取り上げられてブームのようになったが、今は過渡期にある」「LCCのサービスに対する意識付けを業界としてもしていく必要があるのではないか」と指摘されました。

 確かに、LCCは会社によって旅行会社が使いにくいという側面があるのは事実ながら、旅行市場を拡大するポテンシャルを持っているのも間違いありません。利用意向が下がっているとはいえ、50%を超える人々が利用に前向きな姿勢を示しているわけで、多少の紆余曲折はあったとしても、将来的にLCCが一定のシェアを占めていくことも確実でしょう。

 旅行会社がどのようにLCCと向き合い消費者との間に立っていくか、このことがこれからの旅行市場、旅行業界に与える影響は小さくないように思われます。

 なお、今週はこのほか、エイチ・アイ・エス(HIS)のチャーター専門航空会社が就航を再延期した記事が2位になりました。先々週のランキングで1回目の延期の記事が1位になりましたが、その際に懸念していたことが現実になってしまいました。

 おそらく、お客様への影響は意地でも最小限に抑えるような気がしますが、利益は圧迫されるでしょうし、印象の回復にも労力を費やすことになるはずです。利益の減少は仕方ないにしても、印象については最初から余裕を持ってリスケジュールしておけば、傷も浅く済んだのではないかと思われてなりません。

 ただ、新しいことをするには困難が付きもので、逆にいえばチャーター専門の航空会社を作ろうとしなければ今回のような事態も起きなかったことになります。先ほどのLCCの話にも通じますが、何もしない結果として何の変化もないよりは、少しでも成長しようとして失敗した方が良いに決まっています。

 日本の航空事情を考える上で、チャーターは旅行会社にとって極めて有望な選択肢ですし、融通のきく専門の航空会社を自ら持つというHISの決断は理にかなったものです。就航前にケチがついてしまいましたが、着実にリカバリーし旅行業の新しいあり方を示してほしいと願っています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年7月第4週:7月21日0時~7月26日18時)
第1位
リピートされる航空会社とLCC市場-エイビーロード海外旅行セミナーより(13/07/23)

第2位
HISのチャーター会社、就航を再延期、成田で8月20日からに(13/07/24)

第3位
HIS、送客1位のバリでアヤナ新商品、OL向け-CMに天海祐希さん(13/07/25)

第4位
スターフライヤー、8月グアムにチャーター12本、売れ行き好調(13/07/23)

第5位
ユナイテッド航空、デンバー線「非常に好調」-日本発は乗継8割(13/07/21)

第6位
サービス連合、中長期の活動に3本柱-夏ボーナス、観光業は回復(13/07/22)

第7位
全日空、ヤンゴン増便・大型化、成田/成都もB767に(13/07/24)

第8位
13年上半期の出国者数は7.9%減、観光庁、ツーウェイ促進-訪日は22.8%増(13/07/24)

第9位
スイスと航空協議へ、オープンスカイなど可能性(13/07/21)

第10位
米国、2021年に観光客1億人めざす-ラスベガスでパウワウ2013(13/07/25)