海外旅行市場の新たな動きと対策-エイビーロード海外旅行セミナー

  • 2013年7月16日

パッケージツアーとFITの選択
手軽さ、確実性のニーズ強まる

 旅行の検討・申込み時期と旅行形態の選択理由からは、昨今の旅行者の志向の変化が垣間見られた。旅行の検討・申込み時期については、「旅行を思い立った時期」は平均4.6ヶ月前で過去2年とほとんど変わらないが、「検討開始時期」は3.3ヶ月前、「申込み時期」は2.6ヶ月前となり、2年前から徐々に早期化している。


 パッケージツアーの利用率は60.4%で、昨年よりも1.2ポイント増の微増。パッケージツアーを選んだ理由としては、「自分で航空券の手配をしなくて済むから」(41.6%)、「自分で宿泊施設の手配をしなくて済むから」(37.4%)、「旅行内容を自分で企画しなくてもよいから」(29.5%)という手軽さを理由とする回答が上位3位を占めた。「ツアー内容に比べ価格が安いから」(18.0%)は8位、「個人で同内容のものを企画して行くより価格が安いから」(16.0%)は9位で、便利さの方が価格よりも重視されているようだ。

 このことから森戸氏は、「パッケージツアーの選択理由が価格であれば価格競争が進むが、実際は手軽さが支持されている」と述べ、「FIT化が叫ばれているが、手軽さが理由であればこれ以上シェアが下がることはないと個人的に思う」との考えを述べた。


 一方、FITの出発前の手配状況からも新しい動きがみられた。ホテル・宿泊施設の事前手配率は79.4%で2年前よりも4.6ポイント増加。オプショナルツアー・現地アクティビティは15.9%で2年前よりも4.2ポイント増加しており、森戸氏は「確実性を求める旅行者が増えている」と、旅行者の性質の変化も指摘する。

 このほか、2012年は歴史的な円高となった為替の動きも、海外旅行にユニークな影響を与えた。為替はもともと海外旅行に影響を与える要素であり、2012年の海外旅行のきっかけでも、長期の休みが取れた(28.1%)、お金の余裕ができた(19.2%)にあわせ、円高・円安(24.5%)も3大理由の1つに入っている。加えて2012年が独特だったのは、「円高・円安」をきっかけとする旅行の割合が、円が80円に上昇した11月に28%超、12月に30%超と、円安傾向にあっても高くなっていることだ。このことから森戸氏は「年末に向けて上昇したのは今後の円安を見込んだ駆け込み需要か」と推察する。