LCC、旅行会社の販売力に期待-鍵は地方需要開拓、WITより
“LCC元年”とされた昨年、日系LCCが相次いで運航を開始し、外国LCCも新規就航するなど、日本の空が大きく変わり始めた。世界中で旅行需要を刺激し、航空旅行の顧客層を広げてきたLCCが、日本の旅行市場をどう変えつつあるのか。5月24日に東京都内で開催されたオンライン旅行業界の会議「Web in Travel(WIT)Japan 2013」のパネルディスカッション「The Low Cost Effect」から、LCCが日本の消費者や市場、旅行業界に与えた影響や、各社の今後の戦略などについてまとめた。
LCC、求められる価値は世界共通-構造改革でコスト削減を
パネルディスカッションでは、まずジェットスター・ジャパン(GK)代表取締役社長の鈴木みゆき氏が、LCCが日本の航空業界にあたえた影響について、GKの例を元に説明。LCCの就航に際しては既存航空会社とLCCのカニバリゼーションを懸念する声もあったが「結果的に(GKを含めた)LCCは旅行市場の拡大に貢献し、市場を破壊するのではなく創造している」といい、LCC参入に伴う需要創出というプラス面を強調した。GKでは初めて飛行機で旅行する乗客が全体の30%を占めているという。
鈴木氏は、日本市場は独特な市場とよく言われるが、LCCに求められているものは他市場と同様の価格、オンタイムパフォーマンス、サービスであり「より高いクオリティを求めるのは日本以外の市場も変わらないはず」との考えを述べた。エアアジア(AK)北アジア地区(日本・中国・韓国・台湾)CEOのジェイムス・リー氏も「どの国も『わが市場は特別』と主張するが、求められる価値は実は同じ。ただ市場によってアプローチ方法や、どのように市場にリーチすべきかが違うだけ」と鈴木社長の考えに賛同の意を示した。
ただし、鈴木氏は日本は他国に比べ、燃油や空港費用など高コストとなる要因が多いと指摘。そうした市場でLCCを経営することについては「燃料費の高騰もあり、より効率性が求められているのは確かだが、ジェットスター(JQ)はオーストラリアで誕生しており、高コストへの対処には慣れている」と説明。コスト高の現状を変えるため関係方面に対するロビー活動もおこなっているとした。リー氏も「コストを下げられるかどうかは構造改革にかかっており、AKはこれまでもこれを実行しており、日本でもおこなっていくつもりだ」と述べた。