ソーシャルメディア活用でブランド構築へ-WITより
ウェブの世界の枠を超えて、もはや社会に不可欠なコミュニケーション・ツールにまで成長したソーシャルメディア。旅行者の動向や旅行需要にも大きな影響を与える存在といえる。5月24日に東京都内で開催されたオンライン旅行業界の会議「Web in Travel(WIT)Japan 2013」のパネルディスカッション「Social Media」では、大きな影響力を持つようになったソーシャルメディアと旅行業界との関係が語られた。
評価サイトは大きな価値、情報の見落としに注意
「From Conversions To Conversions To Commerce」と題して行われたパネルディスカッションは、ドイツのウェブ調査会社であるトラストユーCEOのベンジャミン・ヨースト氏、グルーポン・トラベルAPAC社長のショーン・シア氏、エクスペディアホールディングス日本・韓国・ミクロネシア地区担当部長の明石匡史氏、エアアジア・エクスペディア(AAE)CEOのキャスリーン・タン氏がパネリストとして登壇した。
パネルディスカッションでは、旅行業界からみたトリップ・アドバイザーをはじめとするネット上の評価サイトに関して、膨大な情報に基づく評価への信頼の必要性を認める一方で、そこから正確な情報を読み取ることの難しさが指摘された。ヨースト氏は「たとえば一つの宿泊施設について、何千もの膨大なコメントを何時間もかけてすべて読むことは困難」としつつも、「文章による評価には大きな価値がある」との考えを示した。シア氏も評価サイトが「ホテルのサービスを映し出す鏡の役割を果たす」としてその価値を認めた。
その一方で、シア氏はコメントにおいて、前段ではサービスを高く評価しているが、後段では従業員による犯罪があったという情報が添えられていた場合を例に挙げ「評価の文章を全部最後まで読めば問題ないが、大切な情報の見落としもある」と注意を喚起。膨大な情報が飛び交うソージャルメディア上の情報を、旅行者が上手に活用するためには一定の労力も必要であることを指摘した。
また、ヨースト氏は「ネット上の評価や情報は同じようなものになりがちで、どこを見ても同じという面もあるため、今後はより個別化した評価などが求められる」と指摘。今後は「家族旅行者に絞り込んだ評価など(個別化が)必要になってくるのでは」との予想を示した。