OTOA、業者間の公正な取引訴え-会員の「勇気ある行動」を
6月5日に開催した日本海外ツアーオペレーター協会の第22回通常総会で、同協会会長の大畑貴彦氏は旅行業者間の公正な取引について、観光庁や業界団体、旅行会社に対する取り組みを強化していく考えを示した。
大畑氏は総会の冒頭、公正取引員会が4月末に大手旅行会社に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反で再発防止勧告を発出した事例をあげ、「これは氷山の一角に過ぎないことは、我々自身が一番良く知っている」とコメント。「旅行会社との取引において、これらの改善には地道な努力が必要。皆さんの勇気ある行動は是非お願いしたい」と参加者に呼びかけた。
旅行会社に関する勧告については、公正取引委員会が4月26日に日本旅行に対し、下請法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)に違反する行為が認められたとし、名前を公表の上勧告を実施した。
公正取引員会によると、日本旅行は海外旅行者から請け負った海外の宿泊施設、交通機関、食事などの手配や予約について、資本金額5000万円以下の事業に委託している下請事業者に対し、下請事業者に責任がないのに下請代金を減額。「ボリュームインセンティブ」などとして、2011年2月から2012年8月まで、下請事業者18名に対し、2853万8987円と、1万4826ユーロを減じていた。これに対し、日本旅行は2012年11月30日、減額した金額を返還している。
OTOA専務理事の速水邦勝氏によると、今までも一部の勇気ある会員が公正取引委員会や中小企業庁に相談し、下請法に違反する要求を撤回したことがあると説明。しかし、未だに改善されないケースも多いとし、「会社名を公開しないまでも、事例を公開するべきでは」との考えを示した。OTOAでは観光庁に対し情報提供をおこない、取引の公正化に向けた働きかけをおこなっていくという。また、日本旅行業協会(JATA)に対しても、違反事例などについてJATA会員に説明し、注意喚起をしてもらいたいと要望を述べた。