JTB、12年度は増収増益-13年度は投資強化、DMCやグローバル重視
▽14年3月期は減少予想-投資強化、DMCやグローバル重視
2014年3月期の連結業績予想は、売上高が1.3%減の1兆2190万円、営業利益が28.4%減の110億円、経常利益が29.7%減の130億円、当期純利益は30.4%減の60億円となり、全体として今年の実績を下回った。
2013年度の海外旅行の見通しについては、円安の影響はそれほど大きくなく、シニアとビジネス需要が好調に推移しており、今後その傾向は続いていく見込み。韓国や中国については、観光需要については落ち込んでいるが、ビジネスは前年並まで回復しているという。
こうした見通しを踏まえ、連結予想が今期を下回ることに対し、田川氏は「それだけ投資するということ。人件費や構造改革などを含め、相当投資をしないと(2020年度の目標達成は)難しい」と説明。「これからは攻めに転じる、構造改革はほぼ終わった」と意欲を示し、100億円近い単位の投資を継続的に実施していく考えだ。
JTBでは2020年のビジョンとして、取扱額2兆円、営業利益400億円の目標を設定。実現のために2015年までの3ヶ年の中期経営計画を開始しており、2015年は売上高1兆2600億円、経常利益220億円、純利益120億円としている。田川氏は2009年からの経営計画を振り返り、「構造的にまだ課題はあるが、ひとつの道筋が見えた。それが交流文化事業であったり、DMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)」と説明。DMCとグローバル事業を柱に事業を展開していくとした。
DMCについては「地域を開発する力がなければ旅行業は成り立たない。交流文化事業の原点であるDMCはさらに強化していきたい」とし、地方自治体などと協力して取り組みを強化していく。また、観光プロデューサーの育成を引き続き実施。現在約15名を全国に配置済みだが、今後は100名単位まで拡充したいという。
グローバル事業については、成長戦略における重要な事業との位置づけのもと、海外現地発、現地での受入事業に加え、DMCを活用した地域活性化にも取り組んでいく。田川氏は「その土地のお客様や旅行会社に、JTBが100年培ってきたノウハウをいかに提供できるか」が重要と述べた。JTBのノウハウを活用し、DMCを設置することで、海外で質の高い旅行商品の造成、提供をめざしていく。まずはシンガポールやタイなどASEAN諸国での取り組みを強化していく考えだ。