アクセスランキング、1位はチャーター規制緩和-ピーチも上位に
[総評] 今週は、チャーターの規制緩和についての記事が1位になりました。専門性の高い記事ですので、ここまで多く読まれるのは意外というのが率直な感想ですが、逆にこうした記事に注目が集まるのは専門誌に携わる者として嬉しくもあります。
さて、規制緩和の内容ですが、要約するとITCチャーターについて用機者が第1種の旅行会社にチャーターした機材の一部座席を卸売できるようにするものです。日本旅行業協会(JATA)によると早速問い合わせが寄せられているといい、地方発の長距離デスティネーションへのチャーター増加が期待できそうです。
日本航空(JL)でチャーターを担当されている宮城孝浩氏は以前、チャーターのメリットを「行きたい時に行きたい場所へ」を実現できることと語っておられましたが、こうした規制緩和によりそのメリットをさらに享受しやすくなることは旅行業界として大いに歓迎すべきものでしょう。
ルールを使いやすくしてもらえたのですから、ここから先は旅行業界の腕の見せどころです。もちろん1位の記事の中でJATAの吉田利直氏が指摘されているように、個札販売が認められていない点や混雑空港でのスロット確保の難しさといった課題は残っていますが、「前回の緩和でこれだけ増えた。この部分が緩和されればさらに…」と順序を踏むことが望ましいように思います。
その意味では、吉田氏が示されているような地方の旅行会社との情報交換やセミナー開催など、JATAによる取り組みに期待がかかるところです。LCCの成長など、ともすれば旅行会社不在で進みがちな航空座席関連の話題ですが、チャーターを使って旅行会社にしか作れないツアーを提供して存在感を示していきたいものです。
今週はこのほか、ピーチ・アビエーション(MM)の記事も注目を集めました。5位の記事は、実際にはエアアジア・ジャパン(JW)についての情報が大半を占めていますが、ランキング外でも受託手荷物料金の変更(リンク)、JR北海道との「道東フリーパス」(リンク)がそれぞれ11位と12位になっています。
MMは3月に就航1年を迎えたばかりですが、ANAホールディングス代表取締役社長の伊東信一郎氏から「本当に好調」と評価されるほど良好な業績を残しています。伊東氏はJWについて認知不足が課題と指摘されていますので、逆にMMは認知がうまくいったことが勝因の一つと考えて良いでしょう。
明暗が分かれてしまったMMとJWですが、とはいえ伊東氏の「まだ伸ばす余地がある」というお考えの通り、ジェットスター・ジャパン(GK)を含めて日系LCCの競争は始まったばかりです。もちろんLCCとFSCの競争も同様ですし、チャーターの活用を含めて日本の空が今後どのように変化していくか、非常に興味深いところです。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年5月第4週:5月19日0時~5月24日16時)
第1位
◆チャーター規制緩和、第1種へ卸売可能に-用機者との連絡体制構築へ(13/05/19)
◆チャーター緩和、地方発長距離に期待-JATA、契約書のひな型作成も(13/05/23)
第2位
◆ジェットスター、B787初号機受領は9月-成田線に導入へ(13/05/21)
第3位
◆i.JTB、15年の海外500億円めざす-国内は1400億円「死守」(13/05/20)
第4位
◆全日空、機内でラーメン、「一風堂」-欧米線上級クラスで(13/05/20)
第5位
◆NH伊東会長、ピーチは「本当に好調」、エアアジアJは工夫必要(13/05/23)
第6位
◆KNT-CT、統合後の滑り出し順調-個人旅行、製販一体強化(13/05/22)
第7位
◆ユナイテッド航空、B787再開-成田/デンバー線、6月10日就航へ(13/05/19)
第8位
◆トルコ航空協議、成田と中部増枠で合意、コードシェア自由化も(13/05/20)
第9位
◆オーストラリア50万人復活へ、TAと各州の動き-ATEレポート(1)(13/05/21)
◆オーストラリア50万人復活へ、TAと各州の動き-ATEレポート(2)(13/05/21)
第10位
◆主要58社、12年度の海外旅行は5.3%増の2.3兆円、3月は前年割れ(13/05/21)