トップインタビュー: ANAセールス代表取締役社長の志岐隆史氏

ANAワンダーアースで旅行商品の新機軸
アライアンスエアラインも積極活用

今年4月に持株会社に移行したANAグループなかで、ANAセールスは旅行商品と国内での航空座席販売を一手に請け負う。旅行事業では、新たなブランド「ANAワンダーアース」を発売。直売という手法でハイエンドマーケットの開拓にも積極的に乗り出している。また、NHを取り巻くビジネス環境の変化に合わせて、アライアンスエアラインを利用する商品造成も進めている。ANAグループ会社として、どのようなビジネス展開を描くのか。今年4月に代表取締役社長に就任した志岐隆史氏に話を聞いた。


-これまでの経歴を教えてください

志岐隆史氏(以下、敬称略) 1980年に大阪支店の予約センターで勤務を始め、販売課に異動した後、東京空港支店の客室部、東京支店の営業、国際の営業本部、整備本部、営業部の国際などを務め、札幌支店長、人事部長を経て、営業センター長と東京支店長を兼務した後、現職に就いた。

 昨年もANAセールスの常務という立場におり、エアラインの販売を見ていた。旅行商品については、大阪のときに仕入れなどを含め商品造成にも関わっていた。


-現在のANAグループにおけるANAセールスの役割を教えてください

志岐 持株会社制に移行したANAグループのもとで、国内の航空座席販売はすべてANAセールスが請け負うことになった。そのなかで販売事業本部と旅行商品事業部に分かれている。前者は航空券や商品の販売、後者は商品造成を担う。造ったものをどう売るか、あるいは売る現場ではどのようなものが望まれているか、そうした情報の交換は新しい体制の方がやりやすいと思っている。

「ANAワンダーアース」パンフレット

 商品造成についていえば、新しい取り組みとして「ワンダーアース」を始めた。この春に第2弾を発売。通常のホールセール商品ではなく、基本的にはお客様に直売をするスタイルだ。ただし、エージェントにお客様から問い合わせがあり、ワンターアースを販売したい要望があれば、通常のコミッションではなく紹介料という形で売っていただいている。売り方については、そのつど相談しながら進めている。直販だけで売っていくという考えはないが、これまでのホールセラーとエージェントというビジネスモデルとは異なるものだ。

 高額商品になるため、メインのターゲットはシニア層。お客様の平均年齢は63歳くらい。集客の目標は年間1000名、最大2000名を見込んでいる。ワンターアースを通じて、特色あるものを出していける旅行会社になっていきたい。また、社内的にもユニークな商品を造っているという自信にもつながると期待している。


-NHと欧米各社とのジョイントベンチャーが始まってしばらく経ちます。ANAセールスとして、どのように対応していますか

志岐 ハローツアーのなかでスターアライアンスのエアラインを利用した商品を造成している。特に、ユナイテッド航空(UA)とルフトハンザ・ドイツ航空(LH)とは深い関係だ。

 UAとLHは大西洋路線で強いつながりがあり、収入だけでなくコストも半分にしている。NHはまだ収入面だけのジョイントベンチャーだが、今後お互いにプレジャーのマーケットでも関係を深めていけるだろう。

 現在、他社便を利用した商品の予約人数シェアは全体の3.5%ほど。UA、LHのほかニュージーランド航空(NZ)の利用も多い。ホールディングのもとでの旅行会社として、どのように利益を出していくかが問われるので、全体の10%まではシェアを伸ばしたいと考えている。