4月の旅行業倒産は7件、領土問題影響か-TSR調査

  • 2013年5月12日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、2013年4月の旅行業倒産件数は7件で、負債総額は9億200万円となった。昨年の0件からの大幅な増加についてTSRでは、円高などによる海外旅行需要の好調さの中で、大手と中小零細企業の間で業績格差が広がっていると分析。特に中国、韓国への需要減が経営を圧迫し倒産の増加につながったと見ている。

 4月の7件のうち、最も負債総額が大きかったのは岡山県の日東トラベルで5億円。震災の影響が払拭された後は業績が回復基調であったものの、中国旅行が中心で北京にも事務所を開設するなどしており、日中関係の悪化に伴って売上が落ち込んだという。また、二十一世紀旅行も同様に中国視察ツアーや韓国などへのツアーを取り扱っていたが、領土問題の影響を受けたという。

 また、1月からの累計倒産件数は19件で、昨年の10件を大きく上回っているところ。すべての業種では倒産件数が減少傾向にあるといい、近距離アジアの需要減が与える影響に注意が必要としている。

 なお、宿泊業は11件で負債総額は62億6900万円。件数は昨年を5件上回ったものの、1月からの累計では44件と昨年の41件とほぼ同水準に収まっている。震災関連倒産は2件で、震災を原因とする倒産は一段落してきたとの分析。

 ただし、震災による休業から営業を再開しても集客が回復しない、老朽化した設備の改善に投じる資金がないといった理由から将来の事業見通しが立たず、経営を自ら諦めて倒産する企業が散見されるという。また、ホテル事業などの本業部門は譲渡済みで、債務清算のための倒産も目立ったという。