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TA、業界向け活動は州観光局を側面サポート、日本重視は変わらず-ATE2013

  • 2013年4月29日

TA本局局長のアンドリュー・マカボイ氏(シドニー発:特派 山田友樹) ニューサウスウェールズ州のシドニーで4月26日、旅行商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2013」が開幕した。昨年までは東半球と西半球に分けられて行われていたが、今回から再び東西合わせての開催で、オーストラリア国内からのセラーは470社約1500名が参加。一方、バイヤーは39ヶ国から725名が集まり、日本からも50名がATE2013に参加した。

 オーストラリア政府観光局(TA)本局局長のアンドリュー・マカボイ氏は業界メディアとのインタビューのなかで、現在TAが進めている「ディストリビューション2020」について説明。各州政府観光局の活動との重複を避け、より効率的にマーケティングを進めていくために、TAは一般消費者向けの活動に力点を移していく方針を示した。旅行業界への働きかけは基本的には各州政府観光局が担い、TAは側面からサポートしていく。ただ、マーケットの性格は各国によって異なるため、日本の場合は市場の特性を考慮し、旅行会社とのパートナーシップを通した消費者へのアプローチも強めていきたい考えだ。

 TAは日本・韓国地区をひとつの組織として再編し、新しい局長にアンドリュー・ライリー氏が就任。マカボイ氏は、その組織のなかで、日本市場を熟知したカントリーマネージャーを置くことを明かした。旅行会社を含めた流通とのパートナーシップやMICEや教育旅行などの取り組みもカントリーマネージャーが責任を担う方向だ。また、TAは業界向けの「オージ・スペシャリスト・プログラム」も継続していく方針。マカボイ氏は「日本とは長い歴史がある。いまでも重要なマーケットであるのに変わりはない。今後も日本市場とのコミットメントを強めていく」と話し、日本市場重視の立場を強調した。

TA日本・韓国地区局長に就任したアンドリュー・ライリー氏(左) 一方、TAは商談に先駆けて、メディア向けに国際市場の現況を報告。それによると、2012年度のオーストラリアへのインバウンド旅行者は前年度比5%増の約610万人に達し、そのうち日本からは同6.4%増の353,900人と好調に推移。国際市場では第5位の規模となった。旅行者数の増加に伴い現地消費額も成長を見せており、2012年度は4%増の770億豪ドル。そのうち日本市場は16億豪ドルとなった。マカボイ氏は会見のなかで、オーストラリアが旅行者1人あたりの消費額では世界第1位になったことを紹介。「高収益で持続可能なマーケットになっている」と話し、オーストラリアの旅行産業の成長をアビールした。

 TAでは、現地消費額を2020年度までに1150億豪ドルから1400億豪ドルに増加させる目標を掲げており、そのうち、日本市場では27億豪ドルから33億豪ドルを見込んでいる。マカボイ氏は海外メディア向けの記者会見のなかで日本市場について言及。回復傾向が続く日本市場への期待感を示した。

 また、マカボイ氏はオーストラリアの強みとして、「世界クラスの大自然」「安全性」「フード&ワイン」の3点を挙げ、今後のプロモーションの方向性として、ホテルの整備、地域観光の開発などのほか、アボリジニ文化、ワイナリー、ゴルフなど既存の観光資源をさらにアップグレードして「World Best in Australia」を目指すと強調。このほか、「旅行者それぞれの体験は異なる」ことから、クチコミの重要性を指摘し、今後もフェイスブックなどSNSを利用したプロモーションならびにマーケティングを積極的に展開していく考えを披露した。