観光庁、13年度は産業政策「実行の年」-業法見直しなど着手へ
観光庁長官の井手憲文氏は3月21日の定例会見で2013年度の方針を語り、従来からの取り組みに加えて、観光産業政策検討会の提言に盛り込まれる見込みの政策を「実行する年」との位置付けを示した。同検討会は世界最高・最先端の観光産業へ向けて官民が取り組むべき課題を提言として取りまとめるために観光庁が設置したもので、3月18日に開催した第4回会合で提言案の大まかな内容が固まったところ。
提言では例えば旅行業法、標準旅行業約款制度、営業保証金制度、チャーター規制など、旅行業に関わる様々な制度について「必要に応じて速やかに見直しをはかるべき」としたほか、組織的な安全マネジメントのあり方も検討するよう求めている。
これについて井手氏は、「見直しの手順や進め方は決まっていないが、なるべく早く議論の場を設けたい」と説明。旅行業関連制度では、標準旅行業約款制度の見直し作業が止まっているところだが、これについては、そもそも「取消料発生のタイミングだけを議論し始めたことは疑問」であるとし、「この(諸制度の見直し作業の)中で議論することになる」と語った。
提言では、諸制度の見直し以外にも、訪日ツアーオペレーター認証制度の運用開始や、観光産業で働く人々の意欲向上を目的とした表彰制度の新設、ホテル・旅館の施設や設備の状況、サービスの有無などについての情報提供、ユニバーサルツーリズムに関する情報提供なども2013年度中に実現ないし方向性を固めるべき項目として盛り込まれる見込みだ。
井手氏は、「(観光庁には)観光産業を育てていくという観点が従来なかった」とした上で、観光立国の実現に向けて提言に含まれるこれらの項目を実行に移していくと意欲を語った。また、5月にMICE国際競争力強化委員会が取りまとめる予定の報告も受け、MICE強化策も実行していく考え。
なお、観光産業政策検討会の提言以外では、10年目となるビジット・ジャパン事業を抜本的に修正して取り組みをはじめるなど、マーケティング活動を引き続き強化するほか、国内観光でも新しい取り組みを始めたいという。
さらに、「仕事のやり方の問題」として、観光庁が設立されてからむしろ国土交通省内の他部局との連携が弱くなり「孤立してきた」点を問題視。「今一度、オール国交省に戻していきたい」とし、さらに他省庁との連携も強化していきたい考えを示した。