旅行業法など諸制度見直しへ、観光産業政策検討会が最終会合
観光庁は3月18日、第4回目の観光産業政策検討会を開催し、「世界最高・最先端の観光産業を目指して」と題した提言案について議論した。この中で旅行業界については、グローバル化やオンライン化、FIT化といった変化や、旅行商品のコモディティ化、低収益性などの課題に対して、旅行業界が「大胆かつ意欲的な経営」により積極的に取り組むべきと指摘。その上で、「このような取り組みに足枷となる制度があれば、現代的な視点から速やかに見直すことが必要である」と盛り込んだ。
具体的には、企画旅行と手配旅行で区分する旅行業法、取消料を含む標準旅行業約款制度、営業保証金制度、さらに航空機をチャーターする際の規制などのあり方について、他国の旅行会社や他産業との競争条件を平等にするため、「旅行者の安全や消費者保護は確実に守りつつ、その意義を改めて検討し、必要に応じて速やかに見直しをはかるべき」とした。
加えて、この見直しを検討する場として、関係者による議論の機会を設け、2013年度に具体的な方向性を取りまとめることとしている。また、チャーター規制に関しては、他の旅行会社に包括旅行商品用の座席を卸売できるよう、2013年度の「出来る限り早い時期に速やかに見直し、実施すべき」とした。
一方で、旅行の安全の確保についての提言では、高速ツアーバスの事故、万里の長城での遭難事故、グアムでの刺傷事件、エジプトでの熱気球事故などを受け、組織的な安全マネジメントのあり方を検討するべきとし、具体的な制度設計に向けて議論の場を設置し、これも2013年度内に方針を取りまとめることとした。
これについて検討会では、規制緩和と安全確保が両立しにくいものであり、さらに「利益が相反する立場の組織や人が多くいて、それをどう乗り越えていくか」といった課題を指摘する意見が複数あった。また、そのためにも観光庁のリーダーシップにより規制緩和による観光立国の実現という意義について理解を得られるよう「やり切る」姿勢が重要とする声も出た。
議論では旅行業法など諸制度の見直しに否定的な意見は出なかったため、観光庁が3月中に取りまとめる予定の提言書には規制緩和の項目が盛り込まれることになる見込みだ。