アクセスランキング、LCCの話題豊富、KNTの教育強化も
[総評] 今週は、LCC関連の記事に注目が多く集まった1週間となりました。まず1位はエアアジア・ジャパン(JW)の夏スケジュール運賃で、期間限定、直販限定ながら韓国線を片道3480円に設定したことがアクセスの多さの要因でしょうか。エアアジア関連では、エアアジアX(D7)日本支社長であった坪川成樹氏がスクート(TZ)の日本支社長に就任された記事も3位に入っており、ニュースに驚かれた方も多かったのではないかと感じられます。
一方、10位にはジェットスター・ジャパン(GK)が日本航空(JL)、カンタス航空(QF)とコードシェアをする記事が入っています。旅行会社としてはこちらの方が業務に関わりが深そうですが、それにしてもサービス面でLCCとの差別化をはからなければならないFSCがLCCをフィーダー路線として活用するとは、想像できていたこととはいえなんとも不思議な状況です。
JWとGKはピーチ・アビエーション(MM)に続いて鳴り物入りで就航した「日系LCC」ですが、MMに比べると思うような実績を残せていないという報道もあり、噂も漏れ聞こえてきます。7位に入ったJW代表取締役社長兼CEOの小田切義憲氏のインタビューでも、現状について率直に語っていただけたように思います。
溺れる者は、という格言の通り、苦境になれば確かに藁にもすがるたくなるもので、日系LCCがそこまで苦境かどうかはわかりませんが、旅行会社への期待が高まる可能性は十分にあるでしょう。「売らせてやる」「売ってもらう」、あるいは「売ってやる」「売らせてもらう」といった態度はどちらにしても避けるべきものですけれども、旅行会社が持つ流通機能の価値に自信を持って販売を提案していくことも大切であるように思います。
さて、今週はこのほか2位に、近畿日本ツーリスト(KNT)グループが社員教育に大幅な投資を決定した記事が入っています。個人旅行分野では、1000名に年間25日間、ほぼ1ヶ月間の下見・視察研修を義務付けるもので、2012年と比較すると約10倍になるとのことですからかなり思い切った決断といえるでしょう。
旅行会社のスタッフよりもお客様の方が知識、経験ともに抱負という問題は、つまるところ現地に行ったことがない、行く隙がない、行くお金がないといった理由から来るもので、まさに紺屋の白袴ですが、是非とも今回のKNTのような取り組みがはっきりとした効果に結びつき、業界に広まっていって欲しいところです。また、トラベルビジョンとしても旅行業界の研修制度の実態について調べるなど、側面からお手伝いをしたいと考えております。
なお、今週はエジプトで気球が墜落し、JTBグランドツアー&サービスのお客様4名を含む19名の方が亡くなるという痛ましい事故が発生しました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするばかりです。
奇しくも2月27日には、日本旅行業協会(JATA)が万里の長城での遭難事故を受けてツアー登山運行ガイドラインに海外企画に関する増補分を加えて発表しました。旅行業界は「旅の楽しさ」と「安全」の両立をどこまでも追求しなければなりませんが、リスクというものは絶対になくならないわけですから、それをどのように管理するかも常に考えていかなければなりません。
一方で、一般メディアの過剰な報道合戦に惑わされる必要もないように思います。もちろん、旅行業界にあまり詳しくない方が取材をしているケースが多いでしょうから、それが一般消費者の目に近いということも事実です。旅行業界としても、旅行業約款や手配のあり方などの課題に一般消費者からも注目が集まったことを忘れてはいけないように思います。
しかし、トラベルビジョンも自戒をしなければなりませんが、メディアはセンセーショナルな書き方をしてしまうものですし、「海外旅行は危険だ」「気球は危ない乗り物だ」といった印象が広まったとしても、その責任を問われることはまずありません。派手な報道には惑わされず、リスクはリスクとして極小化し、それでも起きる事件、事故にはきちんと備えつつ、旅の魅力を粛々とお伝えし続けていただけるよう願っています。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年2月第5週、3月第1週:2月24日0時~3月1日18時)
第1位
◆エアアジア・ジャパン、夏期の運航スケジュールと運賃を発表(13/02/25)
第2位
◆KNT、社員教育を大幅強化、研修を制度化-13年販売方針も(13/02/25)
◆KNT個人が組織改正、「横型組織」化-企画部門の分割も(13/02/24)
第3位
◆スクート日本支社長に元エアアジアの坪川氏-路線拡充方針も(13/02/26)
第4位
◆阪急が組織改正、役員・部長人事異動も(13/02/28)
第5位
◆国交省、B787運航停止で支援、駐機料やU/Lルール免除(13/02/26)
第6位
◆CX日本支社長、まずは香港復活めざす-LCC競争は公平性を(13/02/24)
第7位
◆トップインタビュー:エアアジア・ジャパン代表取締役社長兼CEO 小田切氏(13/02/28)
第8位
◆全日空、5月までB787運休-国際線は4路線欠航、1.1万人に影響(13/02/25)
第9位
◆トップインタビュー:CX日本支社長 クラレンス・タイ氏(13/02/26)
第10位
◆ジェットスター・ジャパン、JL・QFと共同運航、マイル提携も(13/02/26)