JATA菊間会長、旅行産業強化で経営改革訴え-JATA経営フォーラム
日本旅行業協会(JATA)が2月26日開催したJATA経営フォーラムで、JATA会長の菊間潤吾氏は「今まで以上に厳しい環境の中、経営改革をしていかなければ、社会の期待に応え、観光で経済を活性化することを中核的な立場で実施する形になかなかならない」とし、経営基盤の改革による旅行産業の強化を強く訴えた。
菊間氏は「旅行業は長年低価格競争で揉まれてており、企業経営という意味では収益性の低い代表的な産業になっていた」と指摘。利益率については「めざせ1%という標語が30数年前に声高に言われており、一般産業と同様に少なくとも3%は確保するような産業にならなければならない」が、1%の壁はなかなか破ることができず、ここ10年の経常利益率は0.24%から0.55%で推移しているという。
こうしたなか、菊間氏は「業界内でやれること、工夫できることは本気で取り組み、経営改善に向かっていかないと駄目な時が来ている」と強調した。今回の経営フォーラムでも、2007年以来初めて旅行業経営分析の講演や、日本経済団体連合会(経団連)副会長の大塚陸毅氏による特別講演を実施。分科会でも法規制や訪日、LCCなど現在の旅行業界を取り巻く環境をテーマに設定しており、「経営フォーラムを一つのきっかけとし、旅行産業の経営基盤そのものが強くなるために、何をするべきか考える日となれば」と参加者に呼びかけた。
来賓として登壇した観光庁長官の井手憲文氏も「経済成長の新しい牽引役、担い手として、観光産業を強くしていくことが大切」と話した。観光庁では昨秋から観光産業政策検討会を開催し、観光産業全体の強化に関する議論を進めており、今年春には取りまとめをおこなう考え。井手氏は日本全国で各自治体が熱心に観光振興に取り組むなか、観光客の誘客、集客のためには「実際にサービスを提供する旅行産業の力強い発展、利益の上がる経営が何よりも必要」との考えを示した。
さらに、井手氏は旅行業界の安全面についても指摘。昨年発生した高速ツアーバス事故や万里の長城遭難事故、今年の観光バス事故などを例としてあげ、旅行産業が安全確保を実施し、法的責任を取るとともに「CSR的な意味においても安全の確保を経営の視野に入れていただくことが必要では」と述べた。