LCCの発展、路線網や安全性など4つの課題-航空政策研究会シンポジウム
販路の拡大はかり、旅行会社との協力強化
日本国内でLCCが成長していくためには、国内の特性にあった販路の活用も課題の1つ。モデレーターを務めた航空政策研究会理事・事務局長で一橋大学大学院教授の山内弘隆氏は、「LCCモデルは個人旅行のモデルであり、日本型の旅行パッケージとLCCは売り方が違う」と指摘。LCCは新規市場を開拓しているが、レジャー需要では旅行会社のパッケージとの競争になるとし、旅行会社とLCCの関係性について意見を求めた。
これに対し、竹地氏は「LCCの存在は驚異であり、ツアーの造成では競合するところがある。旅行会社としては、(LCCを使った)ツアー造成は難しいが、将来的にはやっていきたい、というのが正直なところでは」との見方を示した。同氏はインターネットの旅行販売が加速する中、現地発着の着地型観光のように、LCCと旅行会社が結びつけば新しい商品のスキームができると提案した。
GKの鈴木氏も「日本の旅行市場では、高齢者は人に(旅行について)相談したいという気持ちが定着している。我々はさまざまな手段でお客様を誘致したい」とし、旅行会社との協力に積極的な姿勢を示した。すでに大手旅行会社と契約を締結。旅行会社は閑散期や季節ごとのパッケージの打ち出し方が上手いと述べ、「平日の閑散期はなかなかロードファクターがあがらないことも事実。パッケージ商品を打ち出すことに対し、そういう時に非常に恩恵を感じている」と話した。
一方、JWの岩片氏は「基本はウェブサイト中心のLCCモデルが原則」だが、販路の拡大のためには旅行会社と協力した販売も必要であるとの考え。当時もすでにアマデウスと流通契約を締結し、アマデウス端末経由での予約を可能にするなど準備を進めていたが、シンポジウム後の2013年1月7日には、ビックホリデーがJWの国内路線を活用したパッケージツアーを設定、販売を開始。ホールセールもおこなっている。