キャセイ、尖閣「多大な影響」も便数維持-品質向上継続
キャセイパシフィック航空(CX)日本支社長のクラレンス・タイ氏はこのほど開催したプレス懇親会の場で、尖閣問題や世界経済情勢によって「計り知れない」影響を受けたとしつつ、週120便以上の日本/香港間の便数を維持したとし、日本市場の重要性を強調した。2012年の日本路線の座席供給量は、チャーターと臨時便を合わせて前年比15%増となったという。
また、日本支社営業本部長のジェームズ・エバンズ氏も尖閣問題によって「多大な影響を受けている。グループ、パッケージが減った」と説明。特に香港行きの需要が減少し、東南アジア方面の需要獲得に注力するなど対応を進めた。プレス懇親会に出席した香港政府観光局(HKTB)日本局長のデービット・リョン氏によると、昨年9月中旬以降、香港への日本人訪問者数が25%減で推移しているという。
ただし、エバンズ氏は「長期的には香港の人気は不動」との認識で、「引き続き需要は強靭であると信じており、短期的な問題を克服し、必ずや復活すると信じている」とも言及。その上で、今後も便数を維持していくと語った。
▽品質向上、2020年までに2兆円投資
香港など短距離路線ではLCCとの競争が激化し始めているが、LCCについてエバンズ氏は「一般論として競争相手。香港では随分前から競争しており、教訓もいろいろと得ている」とコメント。すでに関空/香港線などに就航しているピーチ・アビエーションについても「特別脅威とは思っていない」と語った。
日本航空(JL)や全日空(NH)のようにLCCのグループ会社を保有する動きもあるが、CXとしては「プレミアムエアラインとしてプレミアムサービスを提供していくことを方針として定めている」と明言。ラウンジのリニューアルや路線網の拡充を含めて、今後もプロダクトやサービスの品質向上に投資を続けていくという。
品質向上についてはタイ氏も、「2020年までの投資総額は約2兆円に登る」と語り、2013年にも中距離用ビジネスクラスや長距離用プレミアムエコノミークラス、長距離用エコノミークラスなどの新座席導入を予定していることを紹介した。