アクセスランキング、1位は年頭所感、菊間会長インタビューも
[総評] 明けましておめでとうございます。2013年もすでに10日以上が経過しましたが、これが初めてのアクセスランキングです。新年最初の1位になったのは、大手旅行会社各社の経営トップによる年頭所感を取りまとめた記事でした。
今年は、概ね2012年の業績を堅調ないし好調と捉え、2013年も見通しはさほど悪くないとしつつ、オンライン系など異業種からの参入やサプライヤーと消費者の旅行会社離れなど業界環境の課題、社会経済情勢などの不透明性に懸念を示し、商品力の練磨やビジネスモデルの変革によって成長を実現しようという内容です。
意地の悪い見方をすると、この数年の年頭所感に目立った変化はなく、新鮮味がないと感じられる部分が少なくないのですが、特に業界環境の課題についてはそう簡単に解決できるものではありませんし、おそらく今後もしばらくは課題であり続けるでしょうから、年頭所感の内容が似通ってしまうのもむべなるかな、でしょう。
この中長期的な課題について注目したいのが、3位に入った日本旅行業協会(JATA)会長の菊間潤吾氏のインタビューです。菊間氏は、2013年を「価値創造元年」と位置付け、旅行会社が旅行のプロとして生き残り成長していくために、JATAとしてできること、すべきことに取り組むと意欲を語られました。
詳細な内容は記事をご覧いただくとして割愛しますが、インタビュー中に最も印象に残ったのは、「商品造成に対して、旅行業界ほど投資していない産業はないのでは」というご指摘です。「製造者として、極めて安易なものづくりをしている」というご発言もありました。
旅行会社の価値、旅行のプロフェッショナルとは何か、といった議論はこれまでもなされてきていますし、個人的にもあれこれ考え、当欄でもそのいくつかを書いてきましたが、このようにシンプルな捉え方があったことにまったく気付いていませんでした。
言われてみると、他産業の商品では「血と汗と涙の結晶」などと形容されるものがあるのに対し、私の短い経験年数の中ではありますが旅行業界でこうした苦心惨憺の表現が使用されているのを見たことはありません。すべての旅行会社のすべてのスタッフがそうであるはずはないですが、旅行業界として「安易なものづくり」が一般化しているという菊間氏のご指摘はとても腑に落ちるものです。
このような他産業との比較は、これ以外にも色々な示唆を与えてくれるのではと思われます。観光庁が主催している観光産業政策検討会でも、観光産業は生産性向上の観点で非常に遅れているという指摘がありましたが、サプライヤーとの関係やお客様との関係、競争のあり方など見習うべき点は多々ありそうです。
日々の業務に忙殺される中ではなかなか難しいことですが、視野を広くし、自らの仕事や会社の事業などについて考える時間が実は重要なのでしょう。どうせなら、“紺屋の白袴”を避けるためにも旅に出て、ゆっくり考えてみたいものです。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年1月第2週:1月7日0時~1月11日18時)
第1位
◆年頭所感、ニーズに応える商品力、変化へ意欲も-大手各社トップ(13/01/08)
第2位
◆JTBロイヤルロード銀座刷新、取扱10%増めざす-店舗面積2倍に(13/01/08)
第3位
◆トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏(前)(13/01/10)
◆トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏(後)(13/01/10)
◆菊間会長、13年は旅行業の価値創造を-トラベル懇話会で協力訴え(13/01/07)
第4位
◆ユナイテッド航空、成田/LAX線でB787運航開始、初の国際線(13/01/08)
第5位
◆楽天トラベル、初のチャーター利用ツアーを発売-第1弾はグアム(13/01/09)
第6位
◆エティハド航空、13年は「飛躍の年」、旅行会社と成長を(13/01/10)
第7位
◆JAL・ANA、年末年始の海外旅行は5.4%増に、利用率は80%(13/01/07)
第8位
◆HISのクオリタ刷新、方面やサービス拡充-成田でラウンジサービス開始(13/01/07)
第9位
◆アメリカン航空、上級クラスのサービス刷新、機内食も(13/01/09)
第10位
◆太田新国交相、観光は「きわめて重要」-日中問題は国がバックアップを(13/01/07)