英国、20年の日本人訪問者数30万人めざす-業界向け予算増加も
英国政府観光庁は、2020年までに日本人訪問者数を2011年比26%増の29万8000人に増やす目標だ。11月22日に開催したジャパン・ミッション2012で、同庁海外統括局長のキース・ビーチャム氏は弊社取材に応え、20年の目標達成のため、旅行業界との関係強化、イメージの訴求、アクセスの改善、商品の強化の4点に取り組んでいく方針を示した。
旅行業界との関係強化では、旅行業界向け予算を増やす。英国政府観光庁では2011年から2014年の4ヶ年計画でプロモーションを実施しており、11年と12年は消費者向けの活動を中心に展開。残り2年は旅行業界向けの活動を強化していく。ビーチャム氏は「日本は旅行会社経由の旅行が80%以上であり、旅行会社の与える影響は大きい」と旅行会社の重要性を強調。日本旅行業協会(JATA)をはじめ、旅行会社との意見交換をおこなっていくとした。
さらに、旅行業界向けeランニングプログラムとして「ブリット・エージェント」プログラムの利用者増をめざす。2012年12月1日から31日までの修了者のうち先着100名に1000円分のAmazonクーポン券をプレゼントするキャンペーンも実施する。
イメージの訴求では、今年開始した「GREAT」キャンペーンを継続。このほど日本代表に就任したアシュリー・ハーヴィー氏は「日本ではショッピングとフードの部分がまだ弱い。価値観を変化させていきたい」方針を述べた。食に関しては大使館などと協力し、食の魅力を訴える「Food is Great(仮)」キャンペーンを実施する計画だ。また、円高ポンド安を押し出し、「バリュー・フォー・マニー」としてショッピングの値ごろ感をアピールしていく。
アクセスの改善では、英国国内の地方へのアクセスの充実をはかり、航空会社や鉄道会社に働きかけていく。さらに、ハーヴィー氏はKLMオランダ航空(KL)が来年4月に開設する計画の福岡/アムステルダム線についても、九州市場の取り込みが期待できると述べた。
商品の強化では、ロンドン以遠に訪問する「ロンドン・プラス」をアピールしていく。ハーヴィー氏によると、エディンバラと湖水地方やコッツウォルズを組み合わせた周遊型ツアーが定番化しており、それ以外の周遊ツアーの開発をめざす。ヨークやブライトン、ダラム、ブリストルのような、日本人にまだ認知が低い地域への訪問も促していく。また、香川真司をフックにマンチェスターを訪問するモノツアーなど、テーマ性のあるツアーの造成も訴えていく考えだ。
なお、英国政府観光庁によると、日本人訪問者数は2001年は50万人台だったが、2002年から30万台に減少。2009年は23万4000人まで減少したが、2011年は23万7000人まで回復した。今年はイベント需要に加え円高ポンド安が奏功し、1月から9月までの累計で前年比11%増と増加。ビーチャム氏は世界全体からの訪問者が1%増と微増だったことと比較すると良い状況で推移しており、今後の増加に期待がかかるとした。