アクセスランキング、1位はLCCで業務渡航、2位もLCCスクート

[総評] 今週は、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル法人事業部門が開催したLCCに関するイベントの記事が1位になりました。2位もシンガポール航空(SQ)のLCCであるスクート(TZ)のCEO、キャンベル・ウィルソン氏のインタビューが入っており、6位や8位もLCCに関するものですし、これまでのランキングを振り返ってもLCCへの注目度の高さは個人的に予想以上の水準です。

 さて、1位のイベントですが、法人事業部門が主催していることからもわかる通り、LCCの業務渡航での利用をテーマとしたものです。そして、このテーマでイベントが開かれるということは、逆に「LCCは業務渡航で使いにくい」という認識が浸透していることを意味します。

 記事の中でも触れられていますが、LCCは保有している機材をいかに有効活用するか、言い換えると1日のうちどれだけ長い時間、機材を空の上に置けるかということを重視します。例えばTZではB777-200型機を使用していますが、ウィルソン氏によると1機1日あたり15時間は飛行し、世界的な平均を大きく上回っているとのことです。

 TZは本来は長距離専門でありながらシンガポール/バンコク線にも就航していますが、これは飛行時間を少しでも増やすために、運航スケジュールの隙間を縫って飛ばしているものだそうです。15時間という数字はこうした施策の積み重ねによって実現されるのでしょう。

 話がややそれてしまいましたが、業務渡航での利用を前提にしますと、このような高頻度運航は遅延や欠航につながる可能性があるため、不向きと考えられがちです。また、運航時間帯が極端に早い、あるいは遅いこともありますし、利便性が比較的劣る、いわゆるセカンダリー空港を使用するケースがあることや、予約変更の柔軟性なども業務渡航にとっては懸念の材料でしょう。

 ただ、一方で1位のイベントでも指摘されている通り、工夫次第でデメリットを感じることなく使える可能性はあり、実現すればコストの削減につながるわけですから、利用を検討する企業や社員が出ても不思議ではありません。使うか使わないかは使う側が決めることで、そう考えますとTZのウィルソン氏の話された、消費者に「選択の権利を与える」というLCCのビジネスモデルは業務渡航でも受け入れられる可能性はあります。

 群雄割拠するLCC各社が先を争って消費者に選択肢を提供しはじめたとすれば、旅行会社としても手をこまねいて見ているわけにいかなくなることは自明です。業務渡航に限らず、あるいはLCCにも限らず、「使いにくいから使わない」「付き合いにくいから付き合わない」「よく分からないから後で考える」といった考え方をしていると、あっという間に消費者側が先に選択してしまう可能性があるわけです。

 市場が変化してから泥縄式に対応しようとしても発展的な仕事はできないでしょう。LCCについていえば、LCCに関する記事がこれほど注目を集めている中で、旅行会社が率先して新しい選択肢として臨み、市場側に提案していく姿勢が求められているように思います。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年11月第3週:11月11日0時~11月16日17時)
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第10位
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