アクセスランキング、1位はJL中間決算、万里の長城遭難事故も
[総評] 今週は、日本航空(JL)の2012年度中間決算についての記事が1位になりました。売上が5.7%増となり、営業利益、経常利益、四半期純利益ともに過去最高を更新したとのことで、需要の堅調さも手伝ってはいるものの、経営再建の効果が如実に表れています。
公的支援を受けたJLがこのような好調な業績を残すことに対して、競争環境の公正さを確保する観点から様々な意見が出ていますが、日本の航空会社の売上が伸びないということは基本的には旅行市場の停滞を意味しますし、その点においては歓迎すべきニュースといって差し支えないでしょう。
公正性の確保については、国土交通省が有識者会議を設置して議論を始めたところですので、ひとまずこちらの行く末を見守ることになります。議論次第ではJLのように公的支援を受けた航空会社について、新路線の開設などについて一定の制限を課すガイドラインが定められる可能性もありますし、そうなれば羽田空港の国際線発着枠が拡大する際の枠の配分にも影響が出るかもしれません。
不公平さを訴える全日空(NH)側の感覚も理解できる一方、例えばスカイマーク(BC)はNHを真っ向から否定して再上場を歓迎する意見書を国土交通大臣に出していますし(リンク※PDFファイル)、議論はなかなか一筋縄では行かないように感じられます。とはいえ、いずれにしても公平な競争の実現をめざしていながら、ガイドラインが枷となり、結果として他国の航空会社との競争力を失うことだけは避けて欲しいものです。
さて、今週はこのほか、旅行会社関連のニュースが通常よりも多くランクインしており、2位には万里の長城での遭難事故に関する記事が入りました。お亡くなりになった方々とご家族のお気持ちを思うと胸が締め付けられます。ツアーはアミューズトラベルによるもので、同社は2009年に北海道のトムラウシで起きた遭難死亡事故のツアーも企画、実施していることを考えますと、一般メディアの猛烈な批判報道もやむを得ないでしょう。
今回の事故発生を受け日本旅行業協会(JATA)は、トムラウシでの事故の後に策定した「ツアー登山運行ガイドライン」を海外のツアーについても対象とするように改定する作業を始めましたが、こうした取り組みにより痛ましい事故が再発することのないよう切に願うばかりです。
個人的な意見ですが、安全と安心は旅行会社が提供できる“価値”の中で最優先すべきものであり、なおかつ最もお客様にご評価いただける可能性のあるものです。
世界中の情報がインターネットを介して流通する中で、旅行会社スタッフよりもお客様の方が旅行先に詳しいような状況が指摘されていますが、旅行先についてと同じように、自分の身を自分で守る方法について情報を収集しようとすればできるわけです。しかし、それはあくまで自己責任であって、しっかりした組織的なリスク管理には及ぶべくもありません。
そもそも、安全や安心といった要素は全産業に共通する最低限の“約束事”であり、それすらも直販利用の個人手配に負けてしまうようでは、旅行会社が生き残るべき理由などどこにあるのかと感じてしまいます。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年11月第2週:11月3日0時~11月9日17時)
第1位
◆日本航空、中間決算も過去最高益-尖閣竹島は影響限定的(12/11/03)
第2位
◆万里の長城で遭難事故、アミューズトラベル主催の登山ツアーで(12/11/05)
◆JATA、海外もツアー登山ガイドライン、万里の長城遭難事故で(12/11/07)
◆アミューズトラベル、ツアーの催行自粛-11月末まで(12/11/07)
第3位
◆KNT、クラツー統合後の組織・役員体制決定(12/11/08)
◆KNT、3Qの営業収益7%増、赤字幅も改善(12/11/08)
第4位
◆グアテマラ、グアテマラにて発生した地震の影響について(12/11/08)
第5位
◆トップインタビュー:ジャルパック代表取締役社長の二宮秀生氏(12/11/06)
第6位
◆JTB首都圏、虎ノ門支店で店舗の役割示す、カフェ効果で個人客獲得へ(12/11/05)
第7位
◆ジェットスター航空、関空/シンガポール線初便搭乗率は86%(12/11/03)
第8位
◆日本航空、新シートは1月9日、ロンドン線から(12/11/05)
第9位
◆クオニイ、営業体制変更、団体とFITで新事業ブランド展開(12/11/06)
第10位
◆クラツー、「終活」支援-葬祭や介護、尊厳死テーマに(12/11/03)