JATA、海外もツアー登山ガイドライン、万里の長城遭難事故で

  • 2012年11月7日

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど発生した万里の長城での遭難事故を受け、海外でのツアー登山に関し、ガイドラインを策定する方針を固めた。11月7日、国内旅行業務部部長の興津泰則氏やツアー登山部会部会長の黒川惠氏などが参加した会合で取りまとめをおこなった。今後は全国旅行業協会(ANTA)や日本山岳ガイド協会と議論し、早急にガイドラインを決定したい考えだ。

 ツアー登山については、日本旅行業協会(JATA)が2009年4月に国内旅行委員会内にツアー登山部会を立ち上げ、9月1日付で「ツアー登山運行ガイドライン」を作成。国内のツアー登山に対するガイドラインとし、海外での実施については「本ガイドラインを参考とし、当該国の現地事情や条件等に照らして適正な運行をおこなうべき」という表記にとどまっていた。

 国内旅行業務部部長の興津泰則氏によると、海外でのツアー登山に関するガイドラインは、現行の「ツアー登山運行ガイドライン」に追加する形で作成。海外でのツアー登山の注意点や基準をまとめる方針だ。また、海外の場合は山以外の平地でのトレッキングなど、事故発生時にすぐに救助することが難しく、徒歩での移動手段しかない地域についてもガイドラインの対象とする考え。

 加えて、会合では高山病が発生するようなツアーについても、注意喚起していく必要があるとの意見や、各国の登山の基準の取りまとめやツアー登山ガイドの資格の問題などについて、情報収集をしていくべきとの意見も出された。

 今後は早ければ8日にもANTAや日本山岳ガイド協会との会合を設けて議論を進めていく。興津氏は事故状況の把握とともに「旅行業法における安全義務の範疇で、登山をどのように位置づけするのかも含め、もう一度原点に戻り根源的に議論していく」考えを示した。