ANAグ、第2四半期の営業利益は5割増、過去最高の753億円
全日空(NH)グループの2013年3月期第2四半期(2012年4月1日~9月30日)の連結業績で、営業利益は前年比50.2%増の753億円となり、上半期として過去最高となった。欧州の債務危機や尖閣、竹島問題の影響もあったが、ビジネス、レジャー需要ともに堅調に推移しており、グループの経営戦略に基づいたコスト構造改革も奏功したという。売上高は6.9%増の7532億円で、経常利益は68.7%増の634億円と過去最高を記録。純利益は61.6%増の369億円だった。
航空運送事業は、売上高が6.5%増の6720億円、営業利益は52.2%増の696億円となった。このうち、国際線はビジネス、レジャーともに堅調に推移。訪日需要もキャンペーンで需要喚起をはかったことなどで回復し、前年同期を大幅に上回ったという。結果、売上高は12.6%増の1797億円と増加。旅客数は16.6%増の331万1000人、座席供給量は9.3%増、旅客輸送量は17.5%増、利用率は5.4ポイント増の77.6%となった。旅客単価は、震災で落ち込んだレジャー需要がパッケージツアーを中心に回復したことで、3.4%減となった。
路線網では、7月25日に成田/シアトル線を開設。羽田/フランクフルト線に全便ボーイングB787型機を投入し、8月29日から欧米路線にプレミアムエコノミークラスを順次導入するなど競争力の強化をはかった。中国路線では、成田・関空/杭州線をデイリー化し、成田・関空/北京線で機材を大型化するなどネットワークを充実。9月中旬からは尖閣問題の影響で需要が減退したため、便数は維持しながらも機材を小型化し、需給調整をおこなっているという。
国内線では、売上高が4.6%増の3430億円、旅客数は8.1%増の2077万3000人と増加した。旅客単価はレジャー需要の回復で3.2%減と減少。また、羽田/福岡、鹿児島、熊本線にB787を導入して競争力を強化するとともに、伊丹/福岡、新潟、大分線や福岡/新潟線を増便するなど、ネットワークを強化した。座席供給量は4.6%増、旅客輸送量は7.5%増と増加し、利用率は1.7ポイント増の61.7%となった。
また、航空運送事業におけるその他の収入として、今期からエアアジア・ジャパン(JW)の売上を計上。売上高は約10億円だという。受託ハンドリング収入の増収もあり、その他の収入は12.4%増の883億円となった。JWの輸送実績(2012年8月1日~9月30日)は、旅客数が9万6607人、座席供給量は1億4046万6000座キロ、旅客輸送量は1億763万8000人キロ、利用率は76.6%。NHによると新規需要の創出に奏功しており、比較的順調な滑り出しとの考えだ。
なお、旅行事業は、売上高が7.5%増の843億円、営業利益が56.2%増の30億円だった。海外旅行では、夏場の欧州方面が不調で、中国方面についても尖閣問題の影響で需要が低迷。パッケージツアーの売上高は昨年を下回った。一方、ダイナミックパッケージでは設定都市やホテル数を拡充し、取り扱い件数を伸ばした。国内旅行では、昨年震災の影響を受けた東北方面や、東京スカイツリーの開業などで関東方面を中心に堅調に推移。パッケージツアーは前年同期を上回った。ダイナミックパッケージもスマートフォンサイトなど販売チャネルを拡充したことで堅調に推移したという。