アクセスランキング、1位は需要動向-観光交流の維持、強化を
[総評] 今週の1位は、日本旅行業協会(JATA)が実施した大手旅行会社7社の海外募集型企画旅行の売れ行き調査について書いた記事が1位になりました。尖閣・竹島問題の状況が悪化して以降に発表された海外旅行の需要調査で、ここまで細かく方面別の数値が示されたのはこれが初めてではないかと思いますが、やはり中韓2ヶ国の落ち込みが全体に波及している様子が明確に表れています。
詳しくは記事中の表を見ていただくとしても、第4四半期の中国の予約状況などは3ヶ月とも前年比で7割を超える落ち込みとなり、韓国も5割から7割の減少となっています。また、香港やマカオ、台湾も程度の差こそあれ前年を割り込んでおり、出国者数のかなりの部分を占めるこれらの国々の低調な推移は、海外旅行市場全体に大きな影響を与えますので非常に懸念されるところです。
ただ、調査結果を見ていますと、北米やハワイ、グアム、サイパンなど、好調な数値が並んでいる方面も見受けられます。考えてみると、出国者数に占める割合の多いアジア圏諸国の予約数が急落する中で、全方面の予約状況は10月と11月で15%程度の減少、12月に至っては1.1%減に留まっていることは、需要自体は引き続き旺盛であるといって差し支えないように思われます。
2位の記事でご紹介した日本ハワイ観光協議会(JHTC)の年次会合で、JATA事務局長の長谷川和芳氏はハワイ側関係者に、ハワイの安全、安心を武器にアジアへの旅行を諦めた消費者の需要の受け皿になってほしいと訴えておられましたが、こういった効果がすでに表れているのかもしれません。
また、もう一つ、1位の記事でJATA企画広報・グループマネージャーの勢子浩之氏が話されているように、近距離アジア圏への旅行は間際予約が多い点にも期待ができそうです。これから3ヶ月で領土問題が解決するわけもありませんが、事態の進展やプロモーション展開などによっては状況の改善も十分に望めるでしょう。
当欄でも以前書きましたが、喧嘩するほど仲が良い、近親憎悪、同属嫌悪などといった言葉があるように、争いというものは物理的、精神的に近ければ近いほど起きやすいものではないかと思います。「お隣さんは真夜中に洗濯機を回す!」などという文句も、100メートル離れた家であれば気付かないものでしょう。
近所で利害関係が一致しないことが多々あればトラブルの元は増えますが、悲惨な事件に発展させないためには、「お互いに長所も欠点も良く知っている」ことが重要ではないでしょうか。国民レベルで他国をよく理解するための最良の方法は観光による民間交流です。
このような状況だからこそ、旅行会社は自らの役割に誇りをもって交流を推進したいものですし、観光庁や外国の政府観光局など関係機関には相互のプロモーションを継続、強化していただきたいと願っています。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年10月第4週:10月21日0時~10月26日17時)
第1位
◆海外ツアー、第3四半期は米国など好調-今後は間際に期待(12/10/24)
第2位
◆ハワイ200万人に向けMOU、コナ線復活や事前入国審査めざす(12/10/21)
第3位
◆関空、路線増へ着陸料など負担軽減-中期戦略、LCC強化で新施設も(12/10/25)
◆関空、冬の国際線便数が過去最高に、LCC各社が牽引(12/10/23)
第4位
◆ジェットスター・ジャパン、旅行会社経由の販売強化、アマデウスと契約(12/10/22)
第5位
◆LCCのスクート、B787を20機購入へ、2014年から受納開始(12/10/24)
第6位
◆中国国際航空、日本で優先チェックイン開始、北京・上海は無料送迎キャンペ(12/10/21)
第7位
◆JTB、トラベルカフェと初コラボ、虎ノ門支店で(12/10/23)
第8位
◆全日空、燃油サーチャージ値上げ、12月以降の発券分(12/10/22)
第9位
◆成田、冬スケは国際線35便増-航空会社増え、路線網99都市に(12/10/25)
第10位
◆東電、東北5県を風評被害の賠償対象地域に設定(12/10/21)