アクセスランキング、1位は尖閣・竹島影響、2位はエアアジア

[総評] 今週は、東京商工リサーチ(TSR)が実施した、尖閣・竹島問題が旅行需要に与える影響の調査についての記事が1位になりました。主要旅行会社57社のうち、約8割にあたる34社が中国、韓国へのツアーの予約キャンセルを回答しているとのことです。

 前々回の当欄でも民間の観光交流について触れていますので今回は割愛しますが、中国と韓国は日本人出国者数のかなりの部分を占める大きなマーケットであり、この2ヶ国の失速は市場全体にも大きな影響が出ます。出国者数の過去最高値の更新が現実的になるほど海外旅行市場が好調ムードであった中で、この問題が市場全体にブレーキをかけることも懸念されます。

 ただ、同調査によると、今後の申し込みの推移については期待感に若干の差異があるようで、中国は約9割が減少を予測する一方、韓国では66%の会社が減少を予測しつつ、29%が横ばい、5%が増加を予想しています。年内の回復を見込んでいるとの回答もあったそうですので、この可能性に期待したいところです。

 今週はこのほか、エアアジア・グループ関連の記事が複数ランク・インしており、2位はエアアジア・ジャパン(JW)が初の国際線に就航するニュースです。成田から日本のLCCが国際線を飛ばすのも初ということで、ジェットスター・ジャパン(GK)も後を追うでしょうから、ますます動きが活発になっていくことでしょう。

 JWは、旅行会社との協業について具体的計画はないものの可能性はあるとしており、当初から“旅行会社フレンドリー”なGKを含めて、LCCの就航は旅行会社が取り扱うことのできる素材の増加を意味します。

 ただ、LCCは「安かろう悪かろう」ではないといいますが、当然ながらFSCと同じサービスが提供されるわけではありませんし、取り扱う場合には従来と異なる工夫が必要でしょう。航空券の単価も低いですから、店頭カウンターで時間をかけて航空券のみを販売するようなやり方は非効率的です。

 LCCについては、オンラインで販売するのでなければ、アイディアや知識を駆使し、あるいは安心感を提供するなど、旅行会社として有形無形の売り物を組み合わせてお客様にお買い上げいただくのが唯一の方法ではないかと思います。

 とはいえ、まずはLCCについて知らなければ何も始まりません。7位では、実際にエアアジアX(D7)に搭乗した際の様子を写真でお伝えしていますし、せっかくですからポケットマネーで購入し、体験してみるのも良いのではないでしょうか。

 なお、話は戻りますがJWの国際線1路線目はソウル、2路線目は釜山ということで、航空会社が需要の見込めない路線を飛ばすことは基本的にありませんから、1位の記事についてご紹介した期待もあながち的外れではないように思われます。JWだけでなく各社の座席がいっぱいになり、さらなるキャパシティの拡大につながるよう、早く事態が沈静化して欲しいと願うばかりです。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年10月第2週:10月7日0時~10月12日16時)
第1位
9月以降の海旅、旅行会社の5割が「減少」、中国、韓国取り消しで-TSR調査(12/10/07)
エアアジア・ジャパン、10月28日に成田/仁川線-新路線は4時間圏内(12/10/10)

第2位
エアアジア・ジャパン、国際線もウェブ重視-片道980円も(12/10/10)

第3位
カタール航空、ワンワールド加盟合意-14年までに正式加盟へ(12/10/09)

第4位
シンガポール航空、チャンギ乗継限定で優待キャンペーン(12/10/07)

第5位
全日空、マイレージクラブでマイル交換特典を拡充(12/10/09)

第6位
デルタ航空、シアトル路線を拡大、羽田スケジュール計画も公表(12/10/10)

第7位
フォトニュース:エアアジアX搭乗記、「LCC」を写真で紹介(12/10/11)

第8位
主要58社、8月の海外旅行は11.6%増、13ヶ月連続プラスに(12/10/09)

第9位
IATA、予約システムで航空会社間の「新規格」を検討(12/10/11)

第10位
ベトナム航空、中部/ハノイ線増便-12月28日から週5便に(12/10/09)