WTTC会長、デジタル化は「チャンス」-顧客との関係強化に活用を

  • 2012年9月22日

世界ツーリズム協議会(WTTC)会長でTUI会長のマイケル・フレンゼル氏 世界ツーリズム協議会(WTTC)会長で世界最大級の旅行会社グループTUI会長のマイケル・フレンゼル氏は、9月21日のJATA国際観光フォーラムの基調講演で「大きな課題でもありチャンスであるのはデジタル化」とし、デジタルを活用して「お客様に目を向け、ニーズをしっかりフォローすれば勝者になれる」と、顧客とのコミュニケーションの重要性を強く訴えた。

 デジタル化が進む中、消費者はインターネットでの商品購入や、情報収集、SNSなどを活用した相互交流をおこなっている。フレンゼル氏はこうした状況は「脅威ではなく、新しい技術が提供するチャンス。常に消費者と接触し、対話できるようになる」とし、デジタル技術を使って消費者との接点を常に持ち続けることで、ビジネスチャンスが生まれるとした。例えば、旅行者に旅行中にアプローチをすることで、モバイル経由で旅行先でのエクスカーションなど商品を販売することができるという。

 また、フレンゼル氏は消費者の多様化についても指摘。ブラジルやロシア、インド、中国といった成長率が高い新興市場が存在感を増す中、市場ごとにニーズの違いがあるため「単に自分のビジネスモデルを同じようにどこの国でも適用できる、と考えるのは間違い」と述べた。市場ごとの特性を分析し、適した商品を提供していく必要があるという。

 さらに、個人レベルでもライフスタイルが多様化するなか、さまざまなニーズが生まれている。フレンゼル氏は特に成熟した市場では「お客様はパーソナル化した扱いを求めている」ことから「テイラーメイドでそのニーズを満たすべき」との考えを示した。

 こうした状況で、TUIでは「予約を記憶に残る体験にする」ため、旗艦店に大型タッチスクリーンを設置。地図を表示するとともに、旅行先の映像や旅行者の口コミも店舗で確認できるようにしているという。フレンゼル氏は「我々は単に切符、旅行を売っているのではなく、夢、経験を売っている」と述べ、「旅行を一緒に特別なものにしていきましょう」と参加者に呼びかけた。