観光庁、概算要求は8%増の111.7億円-東南アジアの訪日を強化
▽観光ブランドの確立はかる、旅行の安全対策も項目に設定
観光を核とした地域の再生・活性化では、「観光地域ブランド確立支援事業」「観光地域評価事業」「テーマ性を持った広域連携の在り方調査事業」を新設し、23%増の3億6700万円を要求。観光地域ブランド確立支援事業では、地域独自の明確な価値、イメージを活かした「ブランド」を持つ「ブランド観光地域」の確立をはかる。観光づくりプラットフォームを有する観光圏に対し、ブランド戦略の構築やそれに基づく環境整備、ブランドの維持、向上のための取り組みなどを支援する。
観光地域評価事業では、観光地域づくりの課題や改善点を明確化し、観光地域の改善をはかるため、業界関係者向けに客観的な評価制度の構築をめざす。テーマ性を持った広域連携の在り方調査事業では、複数の観光地域間でテーマを持った広域連携のあり方を調査、検討し、取り組みを促進していく。具体的には全国3テーマ程度でモデル地区を設定し、実証調査をおこなう予定だ。このほか、ユニバーサルツーリズム促進事業を継続事業として実施。ユニーバーサルツーリズム旅行商品の認定制度の確立をめざし、業界団体とともに検討していく。
観光産業の再生、活性化では、「地域宿泊産業再生支援事業」「旅行の安全の確保・向上方策検討調査」を新たに設定し、18%増の2900万円を要求した。このうち、旅行の安全の確保・向上方策検討調査では、LCCや高速バスの普及に伴う安全性への不安や懸念、インターネットの活用など商品の販売形態の多様化による責任主体の不明確化といった問題に対し、旅行の安全の確保、向上をめざす。
現在の事業環境を踏まえ、旅行会社の組織的な安全マネジメントのあり方や、インターネット事業者などとの責任分担の課題、旅行業務取扱管理者がおこなう安全関係業務の充実など、安全管理体制の構築、充実のため、実態把握調査やガイドライン、法制度の導入の是非などを検討する計画だ。
このほか、ワークライフバランスの実現に資する休暇改革では64%減の1900万円で、「柔軟な学校休業の設定に関する調査事業」を新設。観光統計の整備についてはは、13年度は12年度に実施した調査の集計、まとめをする年との位置づけから、56%減の3億9000万円と縮小した。
なお、復興枠では「東北地域観光復興対策事業」3億円、「福島県における観光関連復興支援事業」7億2100万円、「災害時における訪日外国人旅行者の在り方調査」5200万円を要求。このうち、東北地域観光復興対策事業では、青森、岩手、宮城、福島県の太平洋沿岸エリアの需要回復をはかる。
また、東北観光博の仕組みを踏まえ、滞在交流型観光の実施に対する支援をおこなう計画だ。福島県における観光関連復興支援事業では、風評被害対策や観光関連事業に対する補助の実施により、中長期的な回復へとつなげていくとした。