インタビュー:デルタ航空アジア太平洋担当上級副社長デューベ氏

  • 2012年9月4日

羽田/シアトル線に意欲
日系航空会社との提携も模索継続

太平洋路線で米系航空会社最大の路線網を展開しているデルタ航空(DL)。今年の冬期も福岡/ホノルル線を継続して通年化するほか、中部/ホノルル線では、当初予定していた週6便から増便し、夏期同様にデイリー運航を継続することを決定している。一方、羽田はデトロイト線の運休を決め、シアトル線への変更を米運輸省(DOT)に申請。9月中にはDOTの判断が示される予定だが、この成り行きにも注目が集まる。ビジネスの現況について、DLアジア太平洋担当上級副社長のヴィネィ・デューベ氏に話を聞いた。


-最近の日本市場の動向についてお聞かせください。特に東日本大震災後の需要動向はいかかでしょうか

ヴィネィ・デューベ氏(以下、敬称略) 需要は完全に震災前に戻ったといえる。日本の海外旅行市場に安近短の傾向があるのは知っているが、DLの長距離路線は非常に好調だ。

 DLは過去3、4年にわたってアジア太平洋地区で路線を拡大してきており、日本市場でも成田/パラオ線、福岡/ホノルル線などを開設した。需要も、座席供増にともなって拡大している。アジア太平洋全体でいうと、今年上半期の収益は前年比18%から20%増加した。

 ビジネス需要も好調だ。それほど世界的に経済がいい状態ではないにもかかわらず、イールドの高いビジネス客の利用が多く、シェアも拡大できている。DLでは顧客満足度を高めるために積極的な投資をおこなっており、ビジネスクラスなどプロダクトの改善に取り組んでいるところだ。


-北東アジア圏内ではLCCの台頭や、日中韓の領土問題など事業環境が流動的になっています

デューベ LCCは基本的に特定のターゲットをもってビジネスを展開している。我々は、LCCの長い歴史がある米国での経験から、LCCがどのようなサービスを提供するかを知っているし、どのようにLCCと競争するかも心得ている。LCCのマーケットは基本的には3、4時間以内の路線で、DLの主要ビジネスは長距離路線。アジアのLCCがアジアのレガシーキャリアと競合することはあっても、DLとは直接競合することはないだろう。

 また、北東アジア市場については、今年後半に関しては引き続き明るい見通しで、需要だけでなく座席キロあたりの収益でも好調に推移する見込みだ。DLにとって、日本/韓国路線はそれほど大きなマーケットではないので、政情不安から受ける影響はないだろう。数年前にも同じような問題が日中間で起こったが、その時も特別な影響はなかった。