地旅とはなにか 白兎会式典・池田全旅社長講演
白兎会(鳥取県観光関係案内所連絡会・51会員、藤林久也会長=三朝館)がこのほど、大阪市内で開いた設立40周年記念式典で、全旅の池田孝昭社長が講演した。以下、要旨。
"地域の熱意"で商品造成
着地型旅行をなぜ始めたのか。私はもともと大手旅行会社にいました。しかし大手でこのまま勤めていても芽が出ないと感じ、30歳の時に会社を設立しました。
独立して仕事面では問題はなかったのですが、行政との関係が大手の時と同じようにいきません。我々は県知事登録の旅行会社であり、市民税も払っている。そこで、なんとか土俵に上げてもらえないかお願いしました。そのときに言われたのが「大手は全国からお客さんを地元に連れてきてくれる。あなた方は、出すだけじゃないか」と。やはり地元に貢献することでしか行政は評価してくれないのです。
そこで、熊本の60社で協同組合をつくりました。発地から着地への転換を図ろうとしました。でも、なかなか進まない。そんな時に経済産業省から補助金をいただきました。全国6千社のANTA会員をITでネットワーク化しようというものです。そこで各会員の着地型商品を流通させようとしたのです。地域の目線で商品を造る。受入の皆さんとも車の両輪で商品を造る。地域の熱意のある皆さんと協力することが着地型商品にとってもっとも大事です。造る側と売る側が明確に分けて、全国の会員同士で流通させようと考えたわけです。
しかし、この半世紀に染み付いた旅行会社の商慣習はなかなか改められません。お客さんはどんどん変わり、我々より情報を持っているんです。そういう中で、我々の生き残りのためにも着地型をやらなければならないんです。安かろう悪かろうから、付加価値の高い商品として着地型を高めていかなければならない。高く売って我々旅行業者も、受入の皆さんも、住民も等しく利益を得るような形にしなければなりません。
また、着地型普及の大きな目的は、発地型を売ることにあるんです。地域経済が冷え込んでしまっていては発地商品は売れません。毎日の生活に追い込まれていては旅行に出る気はしません。そこで地域経済に貢献するためにも着地型を造成販売する必要があります。
そういう中、着地型観光の普及するため国内観光活性化フォーラムを始めました。来年の群馬開催で9回目になります。本フォーラムにより、ANTA会員に対する行政の理解が深まりました。
国も第3種を改正し、着地型を販売できるようになりました。極端に言うとANTA会員のために門戸を広げていただいたのです。昨年の震災時、被災地の会員からいろんな情報が届きました。旬な情報です。これはある意味、着地型の理念と同じだと感じました。つまり、着地型=地旅を今やらずしていつやるか、ということなのです。
情報提供:トラベルニュース社