インド渡航情報、カシミール一部引き下げ-中・東部諸州は引き上げも
外務省はこのほど、インドの渡航情報で、ジャンム・カシミール州のスリナガルとその近郊について、「渡航の延期をお勧めします」から「渡航の是非を検討してください」に引き下げた。
外務省によると、2010年、11年はスリナガルの一部を含む主要地域で頻繁に外出禁止令が発出されており、10年6月から9月には市民による反インド、反政府デモが暴徒化したことで、治安部隊が発砲して多数の犠牲者が出た。11年4月にはモスクの外で起こった爆発で宗教指導者が死亡、5月には爆弾で1人が死亡、10人が負傷する事件も発生している。しかし、11年6月以降は大規模な騒乱は発生しておらず、スリナガル市内と近郊観光地は比較的平穏な状態だという。
ただし、反政府の気運が潜在する地域であるため、外務省では滞在の際は宗教施設や不特定多数の人が集まる場所には近寄らず、デモが発生する場合は安全な場所に避難するよう呼びかけている。また、渡航する場合は最新情報の入手に努め、在インド日本大使館と連絡を取りながら事態の急変に備えるなど安全対策を講じるようにとした。さらに、スリナガルまでは「渡航を延期してください」の地域を通る陸路を避けて空路を利用するよう勧めている。
一方、インド中・東部諸州のうち、マハーラーシュトラ州東部地域については「十分注意してください」から「渡航の是非を検討してください」に引き上げた。同州とチャッティースガル州との州境にあたるガドチロリ県、ゴンデア県、チャンドラプル県で、武装集団「ナクサライト」により治安部隊の襲撃事件などが発生しているためだという。これにより、インド中・東部諸州全域が「渡航の是非を検討してください」となった。
なお、その他の地域の渡航情報には変更はなく、ジャンム・カシミール州、北東部諸州、中・東部諸州以外で、デリーやコルカタ、チェンマイ、ムンバイなどの大都市を含むインド全域については「十分注意して下さい」のままとなっている。