7月の出国者、8.8%増の159.5万人-訪日は10年比3.8%減、中国が第1位に

  • 2012年8月19日

 日本政府観光局(JNTO)が取りまとめた2012年7月の日本人出国者数(推計値)は、前年比8.8%増の159万5000人だった。2010年比でも13.5%増となり、震災前の水準を上回った。7月までの累計は16.0%増の1055万3000人となった。

 訪日外客数は50.5%増の84万5300人。過去最高だった10年7月の87万8582人に次いで多かったが、10年比では3.8%減だった。観光庁長官の井手憲文氏は8月17日に開催した記者会見で、7月の訪日外客数は「10年比で微減したが、全体の傾向として回復傾向には変化がない」と前向きな姿勢を示した。JNTOによると、円高や放射能汚染に伴う食の安全への懸念が回復に影響したが、夏休みの旅行需要や航空座席供給量の拡大、大型クルーズ船の寄港、個人旅行の回復基調などがプラス要因となり、訪日旅行需要を牽引しているという。

 市場別では、中国が20万3800人(11年比134.4%増、10年比23.6%増)で7月単月で最高記録となり、初の20万台を記録。震災直後の11年4月を除き韓国を初めて上回り、訪日外客数の国別で第1位となった。中国とは8月8日に日中間の段階的なオープンスカイで合意している。井手氏は「首都圏や関空以外の地方空港と、内陸部などの中国各地(の路線)がどんどん活発に開かれていく」と、中国市場の更なる拡大へ期待を示した。関空や中部についても「便数の制限がなくなることから大きな飛躍が望まれる」との考えだ。

 また、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムでも7月単月で過去最高を記録。台湾は15万9300人(11年比40.4%増、10年比4.2%増)、タイは1万6400人(11年比34.6%増、10年比15.4%増)、インドネシアは7800人(11年比69.8%増、10年比26.2%増)、ベトナムは4600人(11年比51.9%増、10年比40.1%増)だった。こうした動きを踏まえ、井手氏は東南アジアに力を入れていく考えを示した。タイでは6月から一般滞在数次ビザを導入したことが増加の一因となっているが、東南アジア諸国のビザの取得要件緩和をはかることで、市場の拡大をめざす。

 一方、韓国や欧米市場など、観光目的の訪日外客の回復が遅れている市場もある。主要4市場では香港が5万1300人(11年比26.6%増、10年比25.5%減)、韓国が18万9700人(11年比35.4%増、10年比19.6%減)と震災前の水準を下回った。