アクセスランキング、1位はエアアジアXの日本路線拡充
[総評] 今週は、1位から3位までをLCCに関連する記事が占めました。1位はエアアジアX(D7)が日本路線の拡充をはかろうとする記事で、成田と羽田、関空に加えて名古屋か福岡も検討しているという内容です。CEOのアズラン・オスマンラニ氏にクアラルンプールで直接お話をお聞きしたものですが、インタビューを通して感じたのは、LCCのビジネスモデルが多様化し「LCC」という概念そのものが急激なスピードで変化している可能性でした。
LCCというと単一機材、モノクラス、サービスの簡素化、短距離、Pint to Pointの多頻度運航、WEB直販などが特徴とされ、「フルサービスキャリア」「レガシーキャリア」「ネットワークキャリア」などがLCCの対義語として用いられてきました。しかし、現在ではLCCを名乗る多くの航空会社がこうした枠組みを逸脱してきていますし、D7も2クラス、長距離、旅行会社経由の販売といった特徴を備えています。
特に印象に残ったのは、エアアジア・ジャパン(JW)のようにグループ会社を各国に設立してハブ空港を確保する、いわば「マルチハブ戦略」です。ジェットスターグループも同様の戦略を取っていますが、複数のハブを基点にして路線を展開していくとメッシュ型の路線網ができあがるわけで、その意味では新しいタイプのネットワークキャリアであるといえるでしょう。
新旧ネットワークキャリアを比較すると、旧来型がフラッグキャリアとして国を代表するような立場であることが多く、その国を中心とした路線、あるいはその国の国益のために路線を展開する必要があったのに対して、新型はそうした制約を受けない点が大きく異なります。例えば成田空港など確固たるメインハブがあるわけでなく、均等にハブ空港が散らばっている様子が、インターネットでいうところの「クラウド」的であるように感じられるのも興味深く感じます。
このような変化は日本にいても気付くものではありましたが、実際にオスマンラニ氏にお話をお伺いしていると、変化のスピードは想像以上であると感じられました。エアアジア自体、たったの10年で運航機材数を2機から114機に増やし、150以上の路線を運航するに至ったわけです。
日本ではLCC時代が幕を開けると注目を集め、実際に国内の変化はこれから始まることになりますが、国際線に限れば国内だけでなく海外の変化にも左右されますので、この変化の過程とスピードのギャップには十分に注意しなくてはならないでしょう。
今回、D7のオフィスにお邪魔して驚いたのは、とにかくスタッフの皆さんが若いことでした。平均年齢はお伺いしませんでしたが、オフィスの雰囲気は日本でいうとITベンチャー企業のようなイメージです。そもそもオスマンラニ氏ご自身が40歳で、2007年から現職とのことですから、35歳の頃からD7の舵取りをしていることになります。
軽々しく「日本でも若返りを…」などと主張するべきではないかもしれませんが、硬直的な組織体制の弊害は指摘するまでもありません。航空業界に変化をもたらしたエアアジアグループを参考にするならば、旅行業界においても柔軟性とスピードによって成長を遂げることが可能ではないかと思われます。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年7月第3週:7月16日0時~7月20日19時)
第1位
◆エアアジアX、成田就航など路線拡充に意欲-13年度、地方路線も(12/07/19)
第2位
◆活気づく海旅市場、LCCで結果FIT増、新たな動きも-エイビーロード調査(12/07/17)
第3位
◆JTBとHIS、チャーターでサイパンツアー間際設定、夏ピークに10日間(12/07/18)
第4位
◆ジェットスター、関空/シンガポール/ダーウィン線開設-11月1日から(12/07/17)
第5位
◆新関空会社、14年度の発着回数30万回へ-まずは着陸料引下げ(12/07/16)
第6位
◆エールフランス、パリ発日本線で新機内食、有料で別メニュー(12/07/16)
第7位
◆ANA伊東社長、リーダシップ世界一、英・航空業界誌が表彰(12/07/17)
第8位
◆日本航空、東南アジアの新運賃「ロングバケーション5」設定(12/07/17)
第9位
◆カウアイ島、「日本人取り戻したい」-特別な魅力で認知向上へ(12/07/17)
第10位
◆ルフトハンザ、新型B747をデリー線に投入、バンガロールも(12/07/16)