現地レポート:アルバータ南部、異なる切り口のカナダを提案
世界遺産でのハイキングや恐竜化石の発掘体験
FITや教育旅行向け素材も豊富
リピーターやSIT向けの商品造成
ルーティングで旅行会社らしさを
多様な素材のあるアルバータ南部だが、日本人旅行者はまだそれほど多くないのが現状だ。チヌーク・カントリー・ツーリスト・アソシエーションのマーケティング・アドミニストレイター、コリーン・ブリッジス氏によると、日本人のパッケージツアーの場合、バンクーバーやバンフ、レイクルイーズをめぐるツアーがほとんどで、南部へのツアーはほとんどない。日本人訪問者はFITが主で、その他は教育旅行や留学生など現地在住者が週末のエクスカーションとして訪問している。
現地の観光施設やホテルなどからはACのカルガリー線増便、通年化を「商品化のチャンス」と見る意見もあった。ただし、「初心者向けと言うよりも、リピーターやSIT向けの素材」との声もあり、ターゲットを絞った商品造成が必要だろう。
また、アルバータ南部を観光する場合はカルガリーを起点に、ハイウェイを車やバス、レンタカーで移動することになるが、ハイライトとなるウォータートン・レイク国立公園はカルガリーから南へ約2時半、バッドランドはカルガリーから北東へ約2時間の位置にある。それぞれ見どころを結ぶルーティングが旅行会社の腕の見せどころとなるだろう。課題ともなるが、新素材の商品化に取り組み、カナダ送客の機会をいかしていきたい。
アルバータ州南部周遊の立ち寄りスポット
先住民、ブラックフット族の生活を学ぶ
アルバータ州南部は先住民の歴史を学べる施設が点在しており、教育旅行の素材としてもお薦めだ。また、ウォータートン・レイク国立公園、バッドランドへの途中での立ち寄り先としても活用できる。
カルガリーの南、約150キロメートルには、世界文化遺産のヘッド・スマッシュト・イン・バッファロー・ジャンプ歴史地区がある。この地域には先住民のブラックフット族が5500年以上も前から定住し、バッファローを誘導して崖から追い落とす「追い込み猟」を行なっていた。案内センターでは、バッファローの骨や先住民の道具など、さまざまな出土品が展示されており、追い込み猟の様子を再現したビデオも見ることができる。
また、カルガリーから東に進めば、ブラックフット・クロッシング歴史公園がある。ブラックフット族の人々が自らの文化や歴史、生活を後世に残すため、居留地内に2007年に造ったセンターには、彼らの生活を再現したコーナーや祭り用の美しい装束など、歴史や文化がわかりやすく伝えられ、コーナーごとに分けて展示されている。
取材:本誌 栗本奈央子