アクセスランキング、1位は航空会社満足度、HISと日旅コラボも
[総評] 今週は、エイビーロードによる航空会社満足度の調査が1位になりました。この調査は毎年実施されており、記事を掲載する度に多くのアクセスが集まりますが、今回は日本航空(JL)が順位を大幅に上げて6位に入った点や、エアプサン(BX)が5位に入った点がより注目を集めたのかもしれません。
JLが6位でLCCであるBXが5位というのも興味深いですが、満足度は費用とのバランスで決まるものでしょうから、こうした結果も十分あり得ます。シンガポール航空(SQ)とエミレーツ航空(EK)の評価はかなり安定したものがありますし、全日空(NH)もこの2年連続で3位を維持していますが、4位以下は大きく変動していますので、取り組み次第で評価は変わるのだということがよく分かります。
エイビーロードによると、全体的な満足度に最も影響を与えるのは客室乗務員の接客サービスで、次いで航空機の機材・設備の相関関係が高いとのことで、旅行会社の満足度を考える上でも参考になりそうです。期せずして今週2位と3位の記事は航空会社の機材やプロダクトに関する記事ですが、旅行業は装置産業ではありませんので、こういった大規模な投資で飛躍的に満足度を向上しようとしてもなかなか効果には結びつきにくいように感じます。
その点、接客サービスは多額の投資はできなくても工夫によって改善できる部分もあります。旅行会社は旅行のプロフェッショナルとして事業を運営すべき、人材育成が急務である、といった意見が良く聞かれ、私自身もそう考えていますが、一朝一夕でプロになれるようなものではありません。しかし、プロでなくても良いサービスは提供できますし、むしろその方が満足度につながる可能性すらあるわけです。
日本人のサービス精神は一般的に非常に高いため、サービスの品質や内容が横並びになるのは仕方ないと思われがちです。しかし実際には、例えばフレンドリーなサービスと高尚なサービスの違いなど様々な差別化が可能でしょう。元気の良いサービスを喜ぶ方もいれば、うるさいと敬遠する方もいます。どのようなお客様にどのように感じていただきたいのか、自社のサービスの特徴を見直してみるのも一つの手かも知れません。
なお、今週はこのほか、エイチ・アイ・エス(HIS)と日本旅行が国内旅行商品を共同開発するというニュースも飛び込んできました。記事は4位にランクインしていますが、先日のジェイティービー(JTB)とじゃらんnetの提携といい、意外な組み合わせが続きます。
厳しい業界環境が続く中で、合従連衡の大きなうねりが来るかもしれないなどと想像してしまいますが、あながち可能性のない話ではないでしょう。LCC各社の就航、オンライン流通のさらなる伸長など、旅行業界のパラダイムシフトを予感させる要因はいくつもありますし、各社が自らの強みを研ぎ澄まし、弱点を補い合うとすれば、むしろ望ましいことのように思われます。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年7月第1週:7月1日0時~7月6日18時)
第1位
◆航空会社満足度、シンガポール航空が1位-JLやLHが躍進(12/07/03)
第2位
◆エミレーツ航空、A380成田に就航-ドバイ発は満席、年平均7割想定(12/07/02)
第3位
◆アリタリア、座席など大幅改善、さらなる増便可能性も(12/07/04)
第4位
◆HISと日本旅行、国内旅行商品を共同開発-HISが販売担当(12/07/01)
第5位
◆LCC就航で成田まで格安バス、東京から最高2000円-京成バス(12/07/01)
第6位
◆夏の旅行者数、過去最高の7703万人見込む-JTB調査、海外4.6%増(12/07/05)
第7位
◆ハーヴェスト、破産申請へ-行政処分決定前に、関係会社4社も(12/07/03)
第8位
◆全日空、「ヤンゴン支店」開設、路線就航に向け(12/07/01)
第9位
◆ピーチ、香港線の初便搭乗率は85%、9月には台北線も開設(12/07/02)
第10位
◆フィリピン航空、5年間で新たに100機発注-日本の新規路線、増便に意欲(12/07/04)